中国との対立と貿易の落ち込みのきっかけはトランプ氏の中国締め上げでした。アメリカは米ソ冷戦体制が終焉し、1991年からアメリカ一極体制でした。その中で中国の台頭はトランプ氏にとっては体制変換になるため、許せなかったわけです。そしてバイデン氏政権でも米国議会と共に中国へのけん制を続けるのはアメリカの主流派が一極体制を守りたいと考えているからでしょう。南沙諸島や台湾問題、軍事力の増大を進める習近平氏へのけん制は続けるわけです。
第3期目の中国は国内の政治的対立構造が表面上消えたため、間違いを指摘修正することができない弱点を持っています。つまり、3期目の人事が「終わりの始まり」だとみています。今回の外務大臣の人事は解任された泰剛氏よりなぜ、高齢の王毅氏が復活したか、それの方が私には驚きでした。知る人で固める、習近平氏の保守的判断の気がします。
中国がどう終わるのか、残念ながら時々アンチ派が期待を込めて使う「崩壊」ではないでしょう。むしろ、私は「ベネズエラ化」を想定しています。ベネズエラは1999年に始まった反米政策、及びそれに伴うアメリカの経済制裁が原因で国家のGDPは大きく減退、貧困層が溢れ、難民が大きく増大しました。ただ、それから23年たった今でも国家は存在し、反米主義の政策も変わりません。つまり、中国はシュリンクし、影響力を落とすのだろうと想定しています。
香港で人口流出が止まらなくなっています。22年末で前年比0.9%減少、3年連続の減少となっていますが、今年に入っていもその傾向は止まりません。英国やカナダでは香港人は移民権が極めて取りやすい状況にあり、それ以外にも東南アジアへの架橋も含め、行先には困らない状況です。一旦西側の自由を謳歌した人々にとって中国共産党に縛られるのは厳しい制約です。
習氏の進める強固な中央政権は、責任を地方政府に押し付け、訳が分からない「反スパイ法」の改正を行い、外国人ビジネスマンをふるい上がらせています。国民からは魂を抜いています。
ふと思うことがあるのです。この国民は仮に戦争があったら本当に銃を持てるのだろうか、と。歴史を振り返れば漢民族は戦争は得手ではなく戦場からすぐ逃げました。中国の民はそこにも気がついています。そして国家に従順なフリをしているだけに見えます。
この「化かし合い」がもうしばらく続く間に世界は中国からさらに離反し、新たな体制を築くのでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2023年7月27日の記事より転載させていただきました。
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