■「ぼったくり価格ではない」と判明
さて「証紙」を外せない理由は理解できたが、200円の鹿せんべいを「500円」で販売するのは、どのような事情があるのだろうか。
自販機を管理するダイドードリンコ 担当者に確認したところ、件の自販機(「I LOVE シカ 自動販売機」)は2022年10月より、春日大社境内に計2台設置されたものと判明。
鹿せんべいのパッケージには、捨てられるはずだった米を混ぜた紙素材「kome-kami」を使った紙箱を使用しており、パッケージはその後、持ち帰って土産品にもなるという。
フードロス削減に貢献しているのはもちろんのこと、同商品(箱代込み)の売り上げの一部も奈良の鹿愛護会の活動に当てられているほか、24時間購入できるのも嬉しいところ。こうした理由があり、同自販機では鹿せんべいを500円で販売しているのだ。
同自販機で鹿せんべいを販売する奈良県ビジターズビューローは、奈良の魅力を世界に発信する組織。
ビジターズビューロー担当者は、前出のダイドードリンコの説明に補足する形で、「鹿せんべいを購入するのに『必ず500円がかかる』ワケではございません。付近の売店では200円で鹿せんべいを購入できます」「自販機商品に使用したパッケージの箱は、修学旅行の学生様や、海外からの観光客様を中心に、人気を集めております」と、説明する。
当初は安価なプラスチック製パッケージの使用も検討したが、シカが誤飲・誤食してしまうケースを想定し、「安全や環境に配慮した箱を作れないか」という思いから、「kome-kami」の使用を決意、採用したのだった。
同パッケージには、そうした「啓発」の意味も込められており、利益等を考慮すると、とても「ぼったくり」と揶揄されるような金額内訳では無い。
むしろ、たった500円で鹿に餌が与えられ、奈良観光の土産が入手でき、奈良の鹿の保護・愛護に繋がる、大変お得なセットなので、奈良観光の際は安心して購入してほしい。