■「ただの紙」と思いきや、長い歴史が…
鹿せんべいに巻かれている「証紙」の存在を、これまで気に留めていなかった…という人も少なくないのでは。
こちらの詳細について、奈良の鹿愛護会 担当者は「奈良県には、証紙の無い鹿せんべいの販売を禁止する県令が存在します。証紙による鹿せんべいの販売システムは、1913年(大正2年)から始まったとされます」と、説明する。
観光地やコンサート会場周辺で、ダフ屋や怪しいグッズを販売する人物を目にした経験はないだろうか。鹿せんべいの証紙は、そうした「非公式」な販売元を排除する、100年以上の伝統を持つ由緒正しき「公式」の証だったのだ。
1992年(平成4年)から「鹿せんべい」は、同愛護会の登録商標となっており、販売する行商や土産屋では、証紙で束ねられた鹿せんべいを販売する必要がある。そして、その売上げの一部が愛護会による「奈良のシカ」の保護活動に充てられているのだ。