こうした文化圏では、個々人が趣味や旅行など、いろいろな分野に興味関心を向ける余裕がないために、ウィキペディアの閲覧もハンター的なスタイルに近づいているのかもしれません。

対照的に、教育水準が高く、男女平等が行き届いた国では、個々人の学業や職業、趣味や娯楽の選択肢が多様に開かれているため、いろいろなトピックに興味を持ち、自由に調べるビジーボディが多くなりやすいと研究者たちは考えています。

もちろん研究者が述べているような傾向以外にも、もしかしたら日本では、「薬になる植物」から「中国の王朝」や「宦官」に興味が移る人がたくさんいてダンサーが多いと判定されることもあるかもしれないので、その国のそのときの流行りや文化によって、スタイルが左右される可能性もあるかもしれません。

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好奇心スタイルに合わせて教育や研修の仕方を改善できるかも / Credit: canva

いずれにせよこの研究の結果は、ウィキペディアの閲覧を通して、人々にはさまざまな好奇心のスタイルがあることを指し示したものであり、どのスタイルが優れていて、どのスタイルが劣っているというような話ではありません。

ここで得られた知見は、人々の関心の持ち方、引いては教育分野における児童や学生、研修生たちの個性に合わせた最適な学習スタイルを提案するために役立つと考えられています。

例えば、ビジーボディの人はあらゆる分野に興味が向きやすいので、1つの専門分野に凝り固まった授業よりも、分野間をまたいで様々な例え話や雑学を混じえた授業によってより成績が良くなるかもしれません。

反対に、ハンターの人は例え話や雑学を挟まれると「話がアッチコッチいってよく分からん…」となる可能性があるので、少し硬めでも、一本筋の通った授業の方が性に合うかもしれません。

実際、自分の場合は学校でこうやって教えてもらえればもっと成績が伸びたかもしれないのに、と感じる人は多いでしょう。