ニューヨーク州のレティシア・ジェームズ司法長官と争った裁判で、2月に巨額の罰金の支払いを命じられたトランプ前大統領。来週までに現金または全額をカバーするボンド(保証)を差し入れなければ、州が資産の差し押さえに動く可能性が指摘されているが、あえて「何もしない」選択肢を検討しているかもしれないという。
トランプ氏や一族企業が有利な融資条件を得るために金融機関に資産価値を偽った問題で、ニューヨーク郡裁判所のアーサー・エンゴロン判事は3ヶ月間の審理の末、トランプ氏に対して不正に得た利益3億5,480万ドルと不正が行われた日から発生した利息(9%)の支払いを命じた。
判決は2月23日に正式なものとなり、それを受けて上述の合計金額454,156,783ドル(680億円)に年利9%、日割りにして111,984ドル(約1,700万円)が追加されることになった。
NBCニュースによると、トランプ氏は控訴しているが、判決の執行を停止するために来週までにボンド(保証)を確保する必要に迫られている。しかし今月19日に裁判所に提出した文書で、保証会社30社以上に打診したが応じる会社がなかったと明かし、全額のボンドの確保は「事実上不可能」と説明した。
ニューヨークポスト紙が関係者などの話として伝えたところによると、「何もしない」可能性の背景には、トランプ氏はそもそも自分の主張に分があり、控訴、または最高裁まで争えば、差し押さえられても取り返せる可能性が高いと考えているのだという。
ただし、この選択にはリスクを伴う。州司法長官が控訴が決着する前に罰金を取り戻すために没収した不動産を売却してしまえば、たとえ勝訴しても返ってくるのはお金だけになる。