介護の現場の苦悩

 採用基準の緩和による問題は、介護の現場でも起きているという。

「介護業界の人手不足は本当に深刻で、一般企業の間で初任給の引き上げ競争やホワイト企業化のPR合戦が進行していることも影響して、介護の専門学校や大学の専門学科を卒業しても一般企業に就職する人が増えています。年間の採用人数としては日本人よりも外国人技能実習生のほうが多いという施設は、もはや当たり前になっています。介護施設の場合、法律で『職員が何人いなければならない』という人員基準が定められており、運営継続のためには絶対に人数を確保しなければならず、また介護報酬が決まっているので、ものすごく高い給与を設定することもできないため、採用環境は一般企業よりシビアです。なので、これまでだと不採用としていたレベルの人まで雇わざるを得ず、勤務態度に問題があっても厳しく注意することもできず、そういう職員がいることで職場全体の人間関係や空気が悪化してしまうということも起きています。さすがに介護施設で職員が問題行為をスマホで撮影してSNSにアップするという話はあまり聞きませんが、実態は以前より確実に悪化しています」

(文=Business Journal編集部)

提供元・Business Journal

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