目次
遅れてきた「最強」、テンロク200馬力も叩き出したNEO VVL
遅れてきた「最強」、テンロク200馬力も叩き出したNEO VVL
あるいは日産も他社の動向は気にしていたものの、バブル時代にパッとしないままバブル崩壊で火の車になった経営状況と販売実績、それによるコストダウンで開発が停滞しただけかもしれませんが、ともかく日産も1997年9月の「SR16VE」でついにリッター100馬力へ。
この時採用したのは、ホンダVTECや三菱MIVECのDOHC版と同様、吸排気バルブの双方でカムプロフィールを切り替え、バルブの開閉タイミングやリフト量を低速/高速で切り替えるもので、SR16VEの「青ヘッド」と呼ばれる標準型は175馬力を発揮。
これは三菱4G92のMIVEC版と同じスペックでしたが、当時既にホンダは初代シビックタイプR(1997年8月)に積んだB18B(もちろんDOHC VTEC)で185馬力を発揮しており、世間の評判は「へー、日産もようやくそういうの出したんだ?」という程度。
N1耐久レース用には「赤ヘッド」と呼ばれる200馬力バージョンのSR16VEを用意して、パルサーセリエ/ルキノハッチVZ-Rに「N1」という特別仕様車を最初200台、2回目に300台の限定販売しましたが、テンロク最強エンジンの割にさして話題にもなりません。
何しろ「N1」仕様にはシビックタイプRやミラージュのような「一般向け豪華仕様」が準備されず、基本的には簡素な競技ベース車のみで人気がなく、またベース車自体も5ドア車を設定できるくらい大きく重かったので、戦闘力もそれなりと見られてしまいます。
実際、レースではシビックタイプRに勝てず、ジムカーナその他のタイムアタック競技でもほとんど見かけずで、たまに見ると「なんでまた日産なんか?」と変わり者扱いされたものです。
日産も作ったはいいものの持て余したか、流行りのRVバージョンであるパルサーセリエ/ルキノハッチS-RVや、B15サニー、パルサーセダンのほか、不人気もいいところなルキノクーペにまでSR16VEを積みましたが、最後までメジャーな印象はありませんでした。
2リッター版のSR20VEもブルーバードSSSやプリメーラに積まれたもののコストダウンで両車とも落ち目、最後に華があったのは、初代エクストレイル(2000年)のターボ車「GT」のSR20VETがSR系で唯一、当時の自主規制値である280馬力に達したくらい。
その後の日産は他社同様に可変バルブ機構の開発を進め、当たり前にしていきますが、少なくとも1990年代の「自然吸気エンジンでリッター100馬力オーバー黄金時代」にはすっかり乗り遅れ、最強スペックでありながら地味な印象だけが残りました。
※この記事内で使用している画像の著作者情報は、公開日時点のものです。
文・MOBY編集部/提供元・MOBY
【関連記事】
・【新車情報カレンダー 2021~2022年】新型車デビュー・フルモデルチェンジ予想&リーク&スクープ
・運転免許証で学科試験の点数がバレる?意外と知らない免許証の見方
・今一番危険な車両盗難手口・CANインベーダーとは?仕組みと対策方法
・SNSで話題になった”渋滞吸収車”とは?迷惑運転かと思いきや「上級者だ」と絶賛
・トヨタ 次期型ノア&ヴォクシーに関する最新リーク情報すべて