サボテンと聞いて、どんな風景を思い浮かべますか。
きっと、乾燥した砂漠にポツンと生えるトゲだらけの植物を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、実はサボテンの仲間たちはその見た目以上に多様で、地球上のさまざまな環境に生息しています。
その多様化の理由を解明するため、 英国のレディング大学(University of Reading)による最新の研究では、サボテンの進化に影響を与える5つの重要な要素を明らかにしています。
それは、「昼間の気温の変動幅」、「年間気温の変動幅」、「土壌の砂の量」、「サボテンのサイズ」、そして「地理的な分布範囲」です。
この記事では、これらの要因がどのようにサボテンの進化に関わっているのか、そしてその多様性の謎について分かりやすく解説していきます。
この研究の詳細は、2024年8月23日付の『Nature Communications』に掲載されています。
目次
- サボテンの進化がもたらす多様性
- 機械学習による複雑な進化の解明
- これからの課題
サボテンの進化がもたらす多様性
サボテン科の植物は、アメリカ大陸を中心に広く分布しており、その特徴的な形態や生態は多くの人々に親しまれています。
特に、サボテンは乾燥した砂漠に適応するために、葉をトゲに変え、茎を太くして水分を蓄えるという進化を遂げてきました。
しかし、驚くべきことに、サボテンは砂漠だけではなく、熱帯雨林や高地など、非常に多様な環境にも分布しているのです。
これは一体なぜなのでしょうか。
これまで、サボテンの多様性は「乾燥化」が主な原因だと考えられてきました。
つまり、地球の気候が乾燥化していく中で、サボテンがその環境に適応し、多様化してきたという説です。
しかし、実際には乾燥だけでは説明しきれない部分も多く、サボテンの進化には他の要因が大きく関与していることが分かってきました。
最新の研究では、サボテンの多様化を引き起こす5つの要因が特定されました。