up or outというビジネス用語がある。主に外資系のコンサルティングファームなどでよく使われる言葉で、「昇進するか、退職するか」という意味だ。今後は東京で働いて生活する時にも当てはまる言葉と言える。

東京の価値はビジネスチャンスだけではない。とはいえ、お金がないと何もできない。特に今後はインフレ環境でことを考えると、上りエスカレーターを逆走するような感覚で、高い上昇志向を持って上へ上へと目指す生き方が求められるのではないだろうか。そうしなければ、時間の経過とともに現状維持では相対的にドンドン貧しい生活を余儀なくされる。

これはつまり、インフレや円安による物価高騰に負けないくらい、収入を増やし続ける力が必要になるということだ。「そうはいってもどれだけ頑張って会社に尽くしても、全然昇給してくれないではないか」という反論が想定される。

だが、これについては過去記事・日本人サラリーマンの低すぎるやる気を高める方法で書いた通り、「サラリーマンの収入アップは昇給ではなく、転職するしかない」という主張のとおりだ。ちなみにこの事情は日本だけでなく米国でも同じである。

誰にとっても、スキルアップとそれに伴う転職はできればやりたくないものだ。余暇時間がなくなるし、転職はどうしてもリスクが伴う。しかし、東京で働くというのは、そういう振る舞いをする場所になってしまったと思考を切り替える必要がある。

筆者もサラリーマンで上京して働いている時は、転職直後の時点ですでに次の転職を想定して、日々の仕事やスキルアップに励んでいた。これはかなりハードで簡単なことではないが、そうしなければジリ貧になってしまう。

東京で上を目指し続けることをしたくない、目指すことに疲れたという人はリモートワークで地方移住をしたほうがトータルのコストは安く済む。「地方は同調圧力が強い」といった話もあるが、それは元々、生まれ育った土地に近所に見知った関係者に囲まれている場合の話だ。筆者は縁もゆかりも無い土地へ移住したが、誰からも煩わしい干渉も受けていない。