柔軟性と全死亡率との関係を初めて解き明かしたこの研究結果は、柔軟性を高めるエクササイズをすることも、健康に大切なことを示唆しています。
さらに、近年では、ストレッチもすることで、予想外の効果が得られることも分かっています。
次のページでは、ストレッチが筋力、筋肥大に及ぼす影響と、ストレッチの効果を得るための大切な視点を説明します。
せっかちな人には効果がないストレッチ
2024年4月、『Sports Medicine-Open』という学術雑誌に興味深いメタ分析が発表されました。
その結果とは、それまでに発表された42の研究を集めて分析したところ、継続的にストレッチをすることで、筋力向上や筋肉が大きくなる効果が得られるというものです。
もちろん、その効果は筋トレの方が大きいと考えられるものの、ストレッチをするだけでも、筋肉に負荷がかかり、筋肉を構成する筋タンパク質の合成が促進されることも分かっています。
この筋タンパク質の合成は、筋肉の成長には不可欠なものです。
そんなストレッチですが、柔軟性を高めたり筋肉を成長させたりするためのコツは、継続的に実施することに加え、時間をかけることが鍵になります。
何となく1つの部位を10~15秒伸ばしたらOKと思いがちですが、ストレッチを継続することで柔軟性が高まったとする研究の多くは、1回で短くても30秒、長いものでは30分、1つの部位に対してストレッチをしています。
また、先ほど説明したストレッチによる筋力向上や筋肥大効果を明らかにしたメタ分析でも、効果を得るには、その部位に対して15分以上、週5回以上、6週間以上にわたりストレッチを実施するという、比較的高い努力が必要になると考察されています。
したがって、ただ何となくストレッチをするだけでは、柔軟性や筋力の向上、筋肥大といった効果を得るには不十分であり、時間と期間が不可欠であると言えます。