ドイツのショルツ首相は7日、リントナー財務相を解任したと発表し、「彼は全ての改善案をブロックした、党派の利益を優先し、私の信頼を裏切った」と厳しい表情で語った。2021年12月に発足したドイツ連邦初の3党から成るショルツ連立政権はFDPの離脱をもって実質的には終焉を迎えた。
<ショルツ連立政権の始まり>
<ショルツ連立政権の終わり>
ショルツ首相によると、しばらく少数政権を維持しながら重要な法案を成立させ、来年15日に連邦議会に首相信任案を提出、否決で不信任となれば21日内に議会を解散し、60日内に前倒しの連邦議会選挙を実施するという。それに対し、野党第一党の「キリスト教民主同盟」(CDU)のメルツ党首は「ショルツ政権はもはや議会の少数派に過ぎない。即退陣して総選挙を実施すべきだ」と要求している。
なお、ベルリンの連邦大統領府で7日、リントナー財務相、ブッシュマン司法相、シュタルク=ヴァッツインガー教育・研究相のFDP出身の3閣僚がシュタインマイヤー大統領から解任書を受け取った。ヴィッシング交通相は党を離脱して政権に留まり、司法相も兼任する。新財務相には財務分野の専門家ヨルグ・クーキース氏が就任し、新教育相にはエズデミール農業相が兼任することになった。
シュタインマイヤー大統領は解任された閣僚にこれまでの職務に感謝を表明する一方、「世界は厳しい時代圏入っているが、民主主義は強い。われわれは現在のドイツの危機を乗り越えることができると信じている」と述べている。
5日は米国で大統領選が行われ、共和党のトランプ前大統領がハリス副大統領に圧勝した。その直後、「欧州の盟主」ドイツのショルツ連立政権の崩壊を迎えたわけだ。ロシアと戦争するウクライナへの欧米諸国の支援問題を一つとっても、トランプ政権の誕生、欧州で最大支援国のショルツ独政権の崩壊によって、ウクライナの情勢は一層混迷を深めることが予想される。