アルザス地方第二の都市ミュールーズには、地域の歴史や建築、自然を一度に楽しめる「エコミュージアム」があります。古い家屋の移築展示、トラクターで巡る体験、動物とのふれあいなど、家族で楽しめるアクティビティが盛りだくさん。
この記事では、エコミュージアムの見どころを余すところなくご紹介します。伝統的なアルザスの暮らしや文化を、まるでタイムスリップしたかのように体験してみませんか?
目次
アルザス地方第二の都市、ミュールーズ
エコミュージアムに移築されてきた家屋
トラクターに乗って、木炭作りを見学
家畜の見学や餌やり体験も!
まとめ
アルザス地方第二の都市、ミュールーズ
日本でも有名な仏アルザス地方の街は、クリスマスマーケットで有名なストラスブールやハウルの動く城の舞台となったとも言われるコルマールですが、アルザス第二の都市「ミュールーズ」の名を聞いたことがある人はあまり多くないかもしれません。
ミュールーズはドイツとスイスの国近くに位置し、フランスとドイツの間でしばしば領有権が移り変わった歴史を持つため、フランスにありながらもドイツの文化を色濃く残すアルザス特有の街です。工業で栄えたため、フランスのマンチェスターと称されることも。
2008年にはフランス政府から、建築や産業などの伝統を保護している街に与えられる「芸術と歴史の街」の認定を受けています。世界最大の一般公開されている自動車コレクションを持つ国立自動車博物館やフランスで最も高いプロテスタント建築であるサン・テティエンヌ聖堂があるのもこの街。
日本からのアクセスとしては、パリを経由してシャルル・ド・ゴール空港からバール・ミュールーズまでの直行便が約1時間、もしくはパリ東駅からTGVでミュールーズ駅まで約3時間で到着します。
シャルル・ド・ゴール空港からTGVに乗った場合、ストラスブールで乗換が必要ですが、3時間45分ほどで到着。車でのアクセスも可能で、パリからは高速で約5時間の距離にあります。
アルザス地方は、そのユニークで可愛らしい建築や工芸で老若男女問わず人気の観光地ですが、今回はそのアルザス地方の歴史と建築を一箇所で学ぶことのできるエコミュージアムを紹介します。
エコミュージアムに移築されてきた家屋
エコミュージアムは、アルザス地方の歴史的な建築物を移築・保護しながら見学を可能にした、屋外博物館です。ミュールーズとコルマールの間、Ungersheimという街に位置しています。
エコミュージアムへはミュールーズから車、もしくは自転車でアクセスが可能。公共交通機関を利用する場合は、Bollwiller駅からシャトルバス(要予約)が出ています。80以上ある建築物は、柱を含め、ほぼ全て現物の建物を移築しています。パスタとソーセージ屋さんや学校、床屋さん、薬局まで、20世紀初頭までのアルザスの生活風景が残されています。
パン屋さんでは、地元名物のフレメンキッシュ(ホワイトソースとベーコンの薄焼きピザ)などが購入でき、お昼ご飯にもぴったり。
エコミュージアムは大きく分けて3つのゾーンに分かれています。Place des Charpentiers(大工広場)では、伝統的な木骨造りの家が並び、キッチンと牛舎が繋がった農民たちの家やガラス窓があることから当時裕福であったと推測ができる中上流家庭の家など、 家の様式から当時の社会階層や生活スタイルが学べます。
<農具置き場や牛舎がキッチンに併設された、農民の家>
<ガラス窓や調度品から、裕福であったと予想される家>
Mulhouse Fortified Tower (要塞の塔)の周りには、ルネサンスと中世スタイルの庭があり、当時の洗濯場や17世紀にHagenbachの村に建てられた家の骨組みが展示されています。
<大衆の洗濯場>
Hagenbach の家の骨組みは、かつて納屋が併設された裕福な農民の家でした。長材工法と言われる古い建築技術で建てられています。アルザスの建築物によく見られる木組みは、装飾ではなく、家を支える骨組みであることが伺えます。
Place of Eden(エデンの園)の周りには、工業地帯としてのアルザスが展示されています。ここでは製材場や労働者の家、ビール醸造所などが見物できます。