裁判で有罪判決を受けて反社会的と断定されていない段階で特定の宗教団体を魔女狩りのように糾弾することは通常の民主主義国家では許されない。また、トランプ氏にとって旧統一教会との関係を隠す必要はないだろう。一方、日本の与党関係者は旧統一教会と過去、関係を有したり、関連団体の会合に参加した場合、党指導部に申請し、今後関係を断つことを約束しなければならないのだ。先の衆議院選挙でも旧統一教会との関係の有無で公認、非公認が振り分けられた。トランプ氏が聞けば驚くだろう。民主国家と考えていた日本が中世時代の魔女狩りをしているのだ。それだけではない。安倍元首相暗殺事件が発生して2年が経過したが、公判がまだ始まっていないのだ。
トランプ氏には取りかからなければならない多くの課題が山積しているから、日本の旧統一教会問題に頭を突っ込むことはできない。しかし、旧統一教会の解散請求が実行に移されれば、旧統一教会は米国の保守派メディア「ワシントン・タイムズ」などを駆使してトランプ政権に日本への制裁を実施するように圧力をかけてくるだろう。米国務省は毎年発表している「信教の自由に関する年次報告書」で日本政府の宗教政策を批判するだろう。
衆議院選挙で党勢を失い、党内から退陣要求が受けている石破茂首相は海を越えた米国から「日本はどうしたのか」といった批判を受けた時、それに反論できるパワーを有しているだろうか。選挙戦で2度、暗殺未遂の危機に直面したトランプ氏から「安倍さんはなぜ殺害されたのか」という質問が出てきた時、反安倍勢力の強い政府は納得できる説明ができるだろうか。
アフリカの国で旧統一教会関連団体のメンバーが現地の子供たちの教育を支援するために学校を開校して活動してきた。その功績に対し日本の外務省は日本人女性に表彰状と一品(日本の伝統的な風呂敷)を贈った。旧統一教会問題がメディアで大きく報じられる前だ。
しかし、旧統一教会問題が大きく報道され出すと、担当駐在外交官は表彰した日本人女性に会い、今後一切関係をもたないと通達し、日本人女性に与えた表彰状と贈った風呂敷を即、返品するように求めたのだ。まるで犯罪者の証拠隠しのようにだ。こんな話をトランプ氏が聞いたら笑い出すかもしれない。それとも、「日本の外務省には小心な官僚が多いのだな」と呆れるかもしれない。