トランプ前米大統領が5日の大統領選でハリス副大統領に圧勝し、再選を果たした。大統領選ばかりか、上院議員選挙でもトランプ旋風を受けて、共和党議員が議会の過半数を獲得した。一方、バイデン現政権は民主党の想定外の敗北にショック症状に陥っている。
ところで、トランプ氏のホワイトハウスへのカムバックが実現されたことから、2期目のトランプ政権への対応が世界の主要国家の緊急テーマとなってきた。例えば、トランプ氏の再選は同盟国・日本にどのような影響が考えられるだろうか。予想されるものとしては、トランプ氏は北大西洋条約機構(NATO)加盟国への負担増しを要求したように、日本に対しても米軍駐留経費の増額を求める公算が大きい。経済部門では、トランプ氏は日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収計画には反対している。”米国ファースト”を標榜するトランプ氏にとって米鉄鋼大手USスチールの外国企業への買収は歓迎しないだろう。
問題はそれだけではない。日米間でもう一つの問題がトランプ氏の再選の結果、浮上してくるのだ。それは旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の解散請求問題だ。同問題は安倍晋三元首相の暗殺事件を契機に共産党系弁護士、左派メディアが実行犯の供述をもとに旧統一教会叩きを始め、メディアの圧力を受けた当時の岸田文雄首相が法の解釈を変えて旧統一教会の解散請求を持ち出した経緯がある。そして忘れてはならない点は、暗殺された安倍元首相は現職時代、トランプ氏とはゴルフ友達であり、両者は信頼関係があった。そのトランプ氏が大統領府の主人として戻ってきたのだ。
トランプ氏は旧統一教会関係の国際会議に祝電やビデオ挨拶などをしたことがある。それに対して、日本のメディア、政府関係者は「反社会的グループの旧統一教会と関係を断つべきだ」とトランプ氏に助言できるだろうか。そのような要求を海外の国家元首にすれば、日本政府、外務省は逆に「信教の自由を蹂躙する非民主国家」と厳しい批判を受けることは必至だ。