TikTok、中国発のSNSで事実上の世界規模のインフラと言ってよいでしょう。アメリカでの同SNSの登録者は若者を中心に1億7千万人いるとされますからほとんどの若者が登録しているようなものです。TikTokを通じた情報が中国に抜かれている、という話はもう何年も前からささやかれていますが、実態はよくわかりません。仮に抜かれているとしてもそれが何の役に立つのか、という気もします。
例えばアマゾンのアレクサとの交信でもフェイスブックの利用でもある意味、情報は抜けているわけです。それらの企業は個人情報というくくりではなくビッグデータとして処理するので「皆さんは心配しなくてもいいですよ」としています。が、技術的にはスパイは可能であり、個人情報の保護の観点からはセキュリティ設定を強化しておくべきとされます。
これなどはほんの一例で大手ITは監視の目が厳しいので大丈夫かもしれませんが、今や我々はITデバイスにどんどん個人情報を入力して様々なアカウントを作っていますので個人情報はほぼ確実に抜けているといってよいでしょう。そして見ようとする悪意がある人がその気になればどうにでもなるということです。
その中でTikTokの情報が国家安全機密に該当するのか、と言われると私は困惑してしまいます。それは私にはわかりません。ただ、アメリカ下院議会はどうしても中国の色、中国の影響力、中国の浸透を避けたいという心理的な拒否反応が先行しているとみたほうが良いのでしょう。今回、下院への上程の前に下院エネルギー商業委員会で本法案を審議していますが、50対0の判断で今回の法案を可決しています。世の中、50対0という発想が存在するのか私にははなはだ疑問です。そして下院の開票結果は352対65で可決でした。
この後上院に回りますが、バイデン大統領が署名するという意向なのでこの勝負は実質的に終わっています。