それだけではない。地球上のどの国で生きてきたかによっても、エネルギー資源の浪費度は大きく違っている。
ご覧のとおり、アメリカをはじめとしてアングロサクソン諸国の金持ちたちのエネルギー浪費度が突出している。大陸ヨーロッパ諸国でも金持ちのエネルギー消費量は大きい。
一方、東アジア諸国の生活水準は1970年代頃から急速に欧米諸国にキャッチアップしてきたが、あまりエネルギーを浪費するライフスタイルは真似ていない。その典型が日本で、日本で所得水準トップ10%の人たちのエネルギー消費量はアメリカ国民の平均値よりも低い。
これは日本が高度経済成長のまっただ中にあった時期からの特徴で、そのころからGDP1ドルを生み出すためのエネルギー消費量は、日本のほうが欧米諸国よりはるかに低かった。
二酸化炭素排出量削減という目標設定は間違っているが、エネルギー消費量の節減というかたちで資源浪費に歯止めをかけようという趣旨なら大賛成で、とくに欧米諸国の金持ち連中にはぜひともやっていただきたい。
ただ、日本国民が欧米諸国で生きている金持ちたちの贖罪意識にお付き合いしなければならない理由はまったくない。
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増田 悦佐(マスダ エツスケ) 経済アナリスト・歴史家・文明評論家。欧米諸国を疑い、日本の強さを信じながら、アジア近隣諸国を蔑視しません。最新著『アメリカ消滅――イスラエルとの心中を選んだ史上最強の腐敗国家』(ビジネス社、2024年5月)
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