メガソーラーがもたらす凄まじい景観破壊

「人間による自然破壊から地球を守る」と称して太陽光発電などを推進している人たちが、じつはとんでもない規模で自然破壊をしている。

「将来もっとスペース効率のいい『再生可能エネルギー』が開発されたら、ソーラーパネルを撤去して景観修復をすればいい」との意見は、事態の深刻さをわかっていない。

ソーラーパネルによって太陽光が直接地表に届かない時期が10~20年続けば、生きていくのに陽光を必要とする動植物の大半が死に絶えて生態系が破壊されてしまう。景観は修復できたように見えても、生態系は「修復」できない。

失われた環境は戻らない Bim/iStock

太陽光発電は大量の労働時間をも奪う

景観破壊に比べてわかりにくいのは、太陽光発電のために動員された労働力は、異常に稼動率が低く、したがって自分の労働の成果が他の事業に投入されたときよりはるかに低い効率でしか経済全体に貢献できないことだ。これは労働時間の大半を盗み取られるに等しい。

この事実は、同じ1キロワット時の電力を生み出すのに必要なコストの差でわかる。

風力に比べて設置した場所によるコスト差も顕著だが、これはもちろん夜は絶対に発電できないし、雨が降っても曇ってもほとんど無理というきびしい気象条件に全面依存するからだ。

当然のことながら、発電が可能な気象条件がむずかしい分だけ太陽光発電の稼動率は風力発電よりさらに悪い。冬はめったに快晴の日がないドイツで太陽光発電をするのは、まさに木に登って魚を獲ろうとするような愚挙だ。

稼動率が4分の1ということは、そこに投入された資源も労働力も4分の1しか活用されていないということだ。そして、これほど労働力を利用する効率が低い発電法なので、天然ガス、石炭、原子力に比べて、同じ電力を生産するのに必要な労働者の人数がなんと46倍に達してしまう。