1. サードパーティアプリの限界

    ビジネスでPCを使う場合、どうしてもサードパーティのアプリケーションの力を借りる局面が少なくない。確かに今どきほとんどのソフトウェアはクラウドで簡潔するようになっているし、自分自身もセキュリティの問題もあり意識的にほとんどクラウドサービスで処理するようにしている。

    しかし、それでも特にWindows上でのみ動作するかゆいところに手が届くアプリを完全に切り離すことは難しい。Windowsに限定した話ではなく、MacOSでも同じだ。ローカルで稼働するビジネスアプリケーションはまだまだ多く、タブレット機でこれを持ち出すことが現実的ではないため外出先で仕事をするならPCを必要とする。

    「それなら外出先からリモート操作をすればいいではないか」と言われるかもしれないが、タイムラグがあったりエクスポートしたファイルの受け渡しの手間や、スリープ状態のPCの電源投入の問題もある。これにはWake On LANを使うか、リモート操作できるIoTボタン押しロボを使えば良いが、そこまで手間をかけるなら最初からPCを持ち出す方が手っ取り早いとなってしまう。

    この問題はiPadが悪いわけではないのだが、完全にPCを放棄することの難しさの原因になっている。

  2. マルチタスクが難しい

    最後はマルチタスクが難しい問題だ。

    PCの最大のメリットはマルチタスクがしやすいことにある。ビジネスアプリケーションを立ち上げてプチ作業をしながら、傍らで動画編集のエンコードを進行させ、BGMを流すなんてことが簡単にできる。

    しかし、同じことをタブレットでしようとするとなかなか難しい。アプリ間の移動はできなくはないが、どうしてもPCほどにはいかない。タブレットにマウスとキーボードをつなげてPCのようにしても、である。

    誤解のないように言いたいのは、筆者はiPadやその他のタブレットを大変気に入って使っている。スマホでは小さすぎるが、PCを持ち運ぶほどではない作業や情報の閲覧機としては軽くて最高のデバイスである。そしてライトユーザーはiPadだけでも、やりたいことはほとんど完結させられるだろう。しかし、ビジネスヘビーユーザーやガジェット好きにとっては、「iPadがあるからPCを完全に切り捨てる」とはいかない事情があるのだ。

     

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