自衛隊に「異形の新型機」導入へ 国産哨戒機の派生型 機体に大きなコブ
防衛省は2024年3月28日、海上自衛隊のP-1哨戒機をベースに開発する「電子作戦機」のイメージを公表しました。
この「電子作戦機」は、2024年度から開発が開始されます。防衛省の2024年度予算には、開発経費として141億円が計上されており、他国の電波情報の収集などを行う海上自衛隊のEP-3の後継機となる見込みです。
防衛省は開発にあたり、既存のP-1哨戒機や民生品を活用することで、開発期間を短縮してコスト削減を図る方針です。遠距離から敵艦艇の展開状況を把握するほか、味方の艦艇や航空機の電子戦能力を向上させる能力も備えるとしています。
そもそもC-2のような大型機が電子戦機の筐体として必要ないでしょう。米空軍はガルフストリームを使っています。親分のいいところは真似すべきでしょう。電子戦機の運用コストは極めて高いものになるでしょう。
P-1の場合は更に深刻です。国産の専用エンジンのブレードトラブルが多くて、兆候があると事前に飛行を停止します。またこれまた光学センサー類の経験がない、富士通が担当した光学電子センサーマウントが頻繁に故障します。開閉式なので、その開閉時にもトラブルが多い。以前P-1が韓国軍の軍艦を家庭用ビデオで撮影していましたが、センサーが使えていればそんな間抜けなことはしなかったでしょう。
P-1の近代化に多くの予算が投下されていますが、その実態は不具合の改修のようです。
このためP-1の稼働率は3割程度とのことです。これは憂慮すべき事態です。防衛省はパーツ代などの手当をするといっていますが、機体に欠陥があれば、いくら整備費を増やしても稼働率は上がりません。 対して米海軍のP-8であれば民間旅客機がベースなので遥かに運用コストも安く上がるし、機体の問題による稼働率低下もほぼないでしょう。
わすか数機しかない電子戦機で稼働率が3割ならば大変問題です。肝心なときに飛べない可能性が高いことになります。つまりは税金の無駄です。
本来空海自の電子戦機はMRJも含めて民間機で行うべきでした。両方合わせれば20機弱にはなります。それだけの機数であれば兵站や訓練も共用化のメリットがあるでしょう。
防衛省、空自、海自はC-2およびP-1 の稼働率、ミッション達成率を公表すべきです。同盟国の米国が公表しているのですからできないわけがありません。「手の内をあかさない」といつも隠蔽していますが、防衛省のいう「敵」とは納税者のことでしょう。民主国家の軍隊として当然公開すべき情報は公開すべきです。 果たして多くの納税者が例えばC-2の運用コストが他国の10倍とか、P-1の稼働率が3割であると知って良しとするでしょうか。能力の秘匿よりも問題点を納税者と共用することが防衛力の強化になるはずです。
まあ、でもどうせできないでしょうから、当事者能力と意識が欠如した防衛省に代わって、財務省がやるべきです。財政審議会の資料として公表すべきです。以前もC-2ではやりました。P-1に関してはP-8との調達コスト、維持運用コスト、稼働率、ミッション達成率を比較して公開すべきです。
【本日の市ヶ谷の噂】
陸自の導入するAMVは一部だけがコングスバーグのRWS、プロテクターRS4を搭載するが、それは中央即応連隊のみ、との噂。
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東洋経済オンラインに以下の記事を寄稿しました。
・航空専門医がいない空自に戦闘機開発はできない やる気のある医官が次々に辞める自衛隊の内情
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月刊軍事研究4月号に陸自の18式防弾ベストに関する記事を寄稿しました。
軍事研究 2024年 04月号 [雑誌]
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Japan in Depthに以下の記事を寄稿しました。
・次期装輪装甲車、AMV採用を検証する その2 AMVのライセンス生産によって日本の装甲車事業は壊滅する
・次期装輪装甲車、AMV採用を検証するその1 駿馬を駄馬に落とす陸自のAMV採用
編集部より:この記事は、軍事ジャーナリスト、清谷信一氏のブログ 2024年4月8日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、清谷信一公式ブログ「清谷防衛経済研究所」をご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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