事業計画を作るとき、2つの要素を考えます。1つは事業をスタートさせるまでの資金、もう1つは事業が安定的に推移し始めた時の収支です。
まず、新規開業など事業をスタートさせるにあたり、その工事費なりを業者から見積もりを取るのですが、その見積もりには理不尽なものがほとんどだといってよいでしょう。それに対してなんでこういう数字なのかと聞けば、世間相場だからと言う答えにならない答えが返ってきます。事業立ち上げは人にお任せにすればその分、高くなる、だから完成後の運営に初期投資が大きくなりすぎて事業を圧迫しかねない点に留意すべきです。
次に事業がスタートし、安定した時、十分な利益が得ることは健全な事業を継続するにおいて最も基本となる部分です。事業計画の時から損益がゼロ近くで頑張って黒字にするという前提であれば事業は1年ともたないでしょう。3割の利益が得られる前提で事業計画は組むべきです。それでも実際には2割取れれば御の字という水準に収まってしまうからです。それは想定外のコスト増や売り上げが思ったように伸びないといった現実問題が生じるからです。
事業資金を第三者から借りる場合、計画と相違して予定外に資金が必要になった時、銀行を含む第三者はお金を支援してくれません。「それは当初の計画と違いますよね。そこは自分で努力してください」と。その時、自分のお金を既に全部出資していたら万事休すです。結局、新規事業をやるには自分でcontingency reserve (予備資金)はしっかり確保すべきなのです。事業の種類にもよりますが、私のようにデベロッパーですと予備資金は事業資金の30%ぐらい積み上げます。工事費が必ず膨張するからです。かつては5%程度でよかったのです。今はそんな時代ではありません。
つまり事業を行うには恐ろしいぐらいの自己資金を積み上げる、そしてそれを銀行や出資者に見せない隠し玉としておいておくことが必要でしょう。
そんな環境下でも私は投資を続けます。それは今ならできるけれど一休みしたらできなくなることを知っているからです。私は株式の話を時々しますが、その際、私はずっと相場と生きているといいますよね。あれは私が市場の息遣いがわかるほど入り込んでいるからこそ、投資銘柄の売り買いができるのだと考えています。それと同様、事業もその世界にどっぷりつかっているからこそ次の手がドンドン生まれ、アイディアを成就できます。その大事なポイントは周りや取引先が「こいつはまだまだ現役だ!」と思わせることで向こうも真剣になる、だからこそ良い仕事ができるともいえるのではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年4月18日の記事より転載させていただきました。
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