背後へ抜け出す動きやワンタッチで相手を剥がす技術面はもちろん、なにより魅力なのはゴールへの貪欲な姿勢。難しい体勢や角度のない位置からでもシュートを放ち決めきる力があり、こぼれ球への反応も速くゴールの量産につながっている。第18節のヴァンフォーレ甲府戦では前半開始早々に直接フリーキックでもゴールを奪っており、こと得点に関しては総合的にハイレベルな能力を見せている。
現在の新潟には、今季10得点を挙げているFW谷口海斗を筆頭に昨夏加入したFW長倉幹樹や開幕前の冬に加入したFW小野裕二と実力者を揃えているが、彼らと比較しても矢村の活躍ぶりと得点能力は一切見劣りしない。新シーズンに向け、チームの得点力アップのためにも帰還が求められる選手であることは間違いない。
岡本將成(鹿児島ユナイテッド)
新潟の下部組織出身であるDF岡本將成も、チームへの帰還が待たれる選手の1人だろう。2020年以降はJ3・J2の他クラブで経験を積み、現在は鹿児島ユナイテッドで活躍を見せている。昨シーズンはリーグ戦35試合に出場し鹿児島のJ2昇格に大きく貢献。クラブとしては2度目の昇格となったが、残念ながら今季は序盤から勝ち点の積み上げに苦慮し8月以降には8連敗。第36節のV・ファーレン長崎戦の結果を受けて1年でのJ3降格が決定した。
クラブとしては難しいシーズンを過ごしているが、岡本は今季もここまで30試合に出場。直近はベンチスタートのゲームが増えているものの、苦しむチームを支えてきた1人であることは間違いない。184cmの長身を活かした空中戦の強さが売りの岡本。現在の新潟で守備の要となっているDF舞行龍ジェームズやDFトーマス・デンと同じチームの中で比べる価値は十分にあると言えよう。
所属元である新潟は今季、特に後半戦で大量失点のゲームが増えている。現時点ではリーグで3番目に多い失点数であり、残留争いに巻き込まれる一因となっている。無事にJ1残留を果たせたとしても、来季に向けて守備の立て直しは不可欠。その際、岡本が他クラブで積んできた経験値は必ずや活きるはずだ。