長期間の記憶維持は即座に形成されるのではなく、睡眠している間に、脳の記憶に重要な領域での継続的な電気的刺激が必要とされる。睡眠不足になると、電気的な刺激があってもその刺激が弱いために、長期にわたる記憶が維持できなくなるのだそうだ。

私もアレルギーと思われる呼吸困難があったときには、睡眠時に頻回に目が覚めて、翌日は頭がすっきりしない状況に陥った。そして、時として、いつも使っている単語が出でこなくなるのだ。この症状は英語を話している時に顕著となった。4-5月中はこれを強く感じたが、5月終わりと6月初めにオランダと台湾から訪問団が来た時には、完全に復調していた。

睡眠は記憶するだけでなく、記憶の引き出しから単語を呼び出す時にも重要だ。時差の大きい海外に出張に行った時に、十分な睡眠がとれないと言葉が浮かばなくなることがある。睡眠は十分に取らなければならない。

そして、この記事の最後に、「事件、事故、災害に見舞われた時、強いストレスを感じて眠れなくなるのは、嫌な記憶を長期間にわたって残さないためのもの」ではないかと述べられていた。嫌なことに遭遇した時は、眠らない方がいいのか?そもそも、なかなか寝付けないが?

編集部より:この記事は、医学者、中村祐輔氏のブログ「中村祐輔のこれでいいのか日本の医療」2024年6月15日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は、こちらをご覧ください。