機械に生物の一部を組み込んだバイオハイブリッドロボットは、従来のロボット技術では実現不可能な技術を開拓できるかもしれません。
金属部品の代わりに生物を用いることで、より柔軟で高性能なロボットが生み出せるかもしれないのです。
そして最近、この分野で新たな一歩が踏み出されました。
アメリカのコーネル大学(Cornell University)に所属するロバート・F・シェパード氏ら研究チームが、カビやキノコなどの真菌類が持つ糸状の構造「菌糸」を組み込んだバイオハイブリッドロボットを開発したのです。
開発された多脚ロボットは、菌糸から送られる電気信号を感知して駆動します。
つまり、キノコが操作するロボットなのです。
研究の詳細は、2024年8月28日付の科学誌『Science Robotics』に掲載されました。
目次
- 「生物と機械の融合」がロボットの可能性を広げるかも
- キノコ(菌糸体)が動かすバイオハイブリッドロボット
「生物と機械の融合」がロボットの可能性を広げるかも
生物の皮膚や組織、筋肉は、柔軟かつ軽量で、環境に優しく、高いエネルギー効率を誇ります。
また、触覚や光、熱などの環境の様々な信号に反応することもできます。
しかし、科学者たちが、生物レベルに高性能なロボットや部品を生み出すのは、まだまだ先のことです。
そうであれば、そのような部品が開発されるのをずっと待つよりも、既に存在している生物の一部をロボットと組み合わせる方が良いかもしれません。
近年、そのようなバイオハイブリッドロボットの研究が進められています。
例えば、培養したネズミの筋肉細胞を利用して動作するロボットや、ヒトの心筋細胞で泳ぐ魚ロボットが開発されてきました。