効率的でなければ、高品質の国内生産の基盤はありません。
人々は、「輸入を禁止すること」を「地方の農業への支援」と同一視することが多いため、保護主義は政治的に望ましいものと思われています。
しかし、アフリカの不振を見れば、保護主義が誤っていることは明らかです。アフリカは、国内生産を促進するために貿易に障壁を設けていますが、未だに成長と輸出の増加に失敗しているのです。
貿易を円滑化することは、アフリカの食糧安全保障を阻害するどころか食糧安全保障の重要な推進力であることを示している他の証拠があります。
貿易を円滑化して輸入を迅速化することで、十分な食糧を得られていない人々の食糧へのアクセスを改善できます。
その結果、消費レベルが向上し、食生活が豊かになります。
さらに、貿易によって食糧の入手が容易になれば、栄養不良の割合は必ず低下します。貿易開放がアフリカの食糧安全保障に好影響を与えることは、文献に一貫して示されているのです。
さらに、これらの知見は他の地域にも一般化することができ、貿易開放が食料安全保障を促進するという世界的な評価も一致しています。
学者たちはFood Policy誌に掲載された論文で、保護主義のプロパガンダに反論して次のように述べています。
「私たちの実証結果は、貿易開放性が食料安全保障に正味で平均してプラスの統計的に有意な影響を与えることを示しました。欧州連合(EU)においても同様で、貿易開放性は『欧州諸国の食料安全保障に正味で有意なプラスの影響を与える』ことがデータから示唆されています」
このように、保護主義政策によって食糧難を防ぐことを期待することはできませんが、地元で買うことの「環境保護上の論拠」はあるのでしょうか?
人々は、食品輸送がCO2排出量の高い割合を占めていると思い込んでいますが、実際にはその数値はごくわずかなものです。
生産された食品の種類は、それがどこで生産されたかよりもCO2排出量を予測するのに適しています。
さらに、環境保護運動に端を発した都市農業の流行もありますが、一部の作物を除けば、都市農業のCO2排出量は、従来の農業の6倍です。つまりCO2排出量を減らすことが目的であれば、これは逆効果といえます。
環境保護論者は、地元での消費(地産地消)は食品が消費者に届く前に移動する距離を短くできるで、環境汚染を最小限に抑えると主張しています。
しかし、研究者たちは、この推論は間違っていると説明しています。
「より大きくより遠い農場で生産された食品は、より多くの距離を移動しなければならないかもしれないが、大量の輸送に巨大な輸送コンテナや大型トラックを使用することで得られる効率は、1マイルあたりの食品の比率をはるかに有利にし、全体的な環境への影響を実際に削減する可能性があります」
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論文の紹介は以上となります。
農業への補助金に関しては、以下の記事もご覧ください。
「補助金なしで、農業は繁栄しない」という神話を覆した国の話。
また、この食料安全保障の議論について、自由主義研究所の主任研究員の蔵研也(経済学者)による解説の動画があります。こちらもよろしければご覧ください。
編集部より:この記事は自由主義研究所のnote 2024年3月30日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿をお読みになりたい方は自由主義研究所のnoteをご覧ください。
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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