ジェイク・サリバン米国家安全保障担当大統領補佐官は24日(現地時間)、「イランと北朝鮮に対するロシアの防衛提案は西アジアとインド太平洋地域をさらに不安定化させる可能性がある」と主張し、イラン、ロシア、北朝鮮の軍事協力に懸念を表明し、「われわれは過去数年間、イランと北朝鮮の軍事協力を目の当たりにしてきたが、過去2年間のイランとロシアの協力による無人機の大規模な開発は新しいものだ」と語り、「米国はロシアの軍事提案を注意深く監視しており、ロシアがイランに武器を供与すれば中東が不安定化するだろう」と警告を発している。
サリバン補佐官が述べた「ロシアの防衛提案」とは、イラン国家安全保障最高評議会のアリ・アクバル・アフマディアン書記がロシアの安全保障会議書記ニコライ・パトルシェフ氏と会談し、安全保障分野での覚書に署名したことを指すものと思われる。
イラン国営IRNA通信は25日、サリバン米大統領補佐官の発言に言及し、「米国は英国および欧州連合(EU)と協調してイランをさらに孤立させ、圧力を強めようとしている」と早速かみついている。
サリバン大統領補佐官が指摘したように、ロシア、イラン、そして北朝鮮の3カ国間の軍事協力は急速に強化されてきている。ロシアのセルゲイ・ラブロフ外相は2019年4月12日、ロシア外務省所属「外交アカデミー」年次集会で「西欧のリベラルな社会秩序に対抗する新しい世界の秩序が生まれてきている」と、「新しい世界の秩序」を高らかに宣言したが、ロシア・イラン・北朝鮮の軍事協力はその展開というのだろうか。
ロシアと北朝鮮の軍事協力はウクライナ戦争の行方を左右するほど影響を与えてきている。プーチン大統領と金正恩総書記は昨年9月、首脳会談で両国間の軍事協力の強化などで合意した。その最初の成果は北朝鮮の軍事偵察衛星「万里鏡1号」の打ち上げ成功だろう。過去2回、打ち上げに失敗してきた北朝鮮はロシアから偵察衛星関連技術の支援を受け、昨年11月21日の3回目の打ち上げに成功した。ロシア側の軍事ノウハウの提供と食糧支援の代わりに、北朝鮮は弾薬をロシア側に供与している(北朝鮮は7000個のコンテナに弾薬、約250万発をモスクワに輸送)、ウクライナのクレバ外相は「ロシアとウクライナ戦争の行方はここにきて北朝鮮が握っている」と発言した。関係者にとっては想定外の展開だからだ(「ウクライナ戦争の行方を握る北朝鮮」2024年1月26日参考)。