仮に大物を含む数名の逮捕者や在宅起訴が出た場合、自民党は池田氏に対して行った「自民党破門」を誰に対しても即座に実行するのか、その行動力が試されます。特に安倍派五人衆の一部、更にはもっと大物の逮捕/起訴となった場合に自民党への国民の失望と圧力は極めて大きくなることは確かです。また34年前のリクルート事件を契機に作られた自民党政治改革大綱は5年近い歳月をかけて作ったものとされますが、結局何も変われなかったと国民に証明したようなものです。
岸田首相が発表するであろう今回の一連の事件に対する対策は「付け焼刃」ともされます。つまりパーティーも派閥も今のままで何も痛みを伴った改革を行わないというわけです。これでは岸田内閣の支持率が一桁になってもおかしくないのです。
では野党は国会が始まる今月下旬からどう対応するのか、ですが、たぶん、噛みつくけれども食いちぎるほどの嚙み方はしないと思います。なぜなら大なり小なり「同じ穴の狢」的なところがあるからだとみています。また、その頃には台湾の総統選の結果が出ており、対中国外交問題が、また4月の韓国総選挙に伴う日本への影響、そして11月のアメリカ大統領選と外交問題が山積するはずで今、国内の足元がぐらついている余裕はないのです。とすれば、国民にすれば不完全燃焼になりかねないのです。
9月の選挙で次期総裁に誰がなるのか、という下馬評も少しずつ出てきていますが、正直、インパクトある人がおらず、岸田氏は次期もやる気満々ともされます。仮にそうであれば消去法で岸田氏が選ばれる可能性は現時点では「それなりにある」とみています。総裁選は国民人気とは全く違うので「お前本気でそう思っているのか?」とご指摘を受けるかと思いますが、今の潜在的候補者を見ればあと誰がいる、と逆に伺いたいぐらいなのです。
こうなると何が困るか、といえば国民にとって政治不在になる点です。ここで私は国鉄がJRになった時と同じ考え方をしたいのです。あの時、国鉄は破綻した、だが、国民の足となる電車は動かねば困るという発想のもと、清算事業と運営を分けました。今回も自民党を旧体制派と新体制派に分けるしかないと思うのです。既に自民党内からも「解党的出直し」の声はあちらこちらから出ています。
また安倍氏のような剛腕型の政治家が目先出そうもないので集団体制で内閣運営できる組織作りも一つのテーマでしょう。また、どれかの党と連立を組む方が刺激になると思います。ただ公明党がその対象かどうかは同党の特殊性を鑑み、もう見直しても良いと思います。
この春、自民党が変われるか、大きく問われるでしょう。
では今日はこのぐらいで。
編集部より:この記事は岡本裕明氏のブログ「外から見る日本、見られる日本人」2024年1月8日の記事より転載させていただきました。
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