対象者はランダムに、割引券を受け取るグループ(実験群)と受け取らないグループ(対照群)に分けられました。
実証期間中、全員に対して、日々の食料品をそのスーパーマーケットで購入することを求めたとともに、実験群は8週間だけ、野菜、果物、ノンカロリー飲料(水、炭酸水、ダイエットソーダ)を50%の割引価格で購入できるクーポンを提供されました。なお、この期間、実験群は当該商品を制限なく、割引価格で購入することができました。
早速得られた結果をみると、8週間の介入期間中、実験群は対照群に比べて野菜、果物、ノンカロリー飲料の購入量が大幅に増加しました。
こういった購入状況の変化に留まらず、介入期間後の体重が対照群に比べると、実験群で平均1.33kg落ちていました。
また、割引期間が終わっても、野菜や果物の購入量が多い状態が続いたと同時に、アルコール飲料の摂取量が逆に少なくなりました。
総じて、これらの結果は、過体重の人たちに対して、野菜や果物、ノンカロリー飲料の半額券を提供することで、購買習慣が変容し、体重減少につながったことを示しています。
肥満をはじめとする生活習慣病は、国の医療費を増大させる一因となっています。
そのため、国や地方公共団体が野菜や果物などの健康的な商品を積極的に手に取るような施策を設けることは、医療費を削減する効果が期待できるかもしれません。
割引クーポンで健康的になる理由とは?
ところで、なぜ今回の実証実験で割引券を貰ったグループの体重が減ったのでしょうか?
これは、割引券を使って購入した飲食物を積極的に食べ飲みしたことが影響したと考えられます。
研究グループは、健康食品に対する割引が25%だった先行研究では、購入量がわずかに増えたものの、体重が変化していなかったことを踏まえ、半額という大きな割引の方が、効果が期待できると考察しています。