中国は大陸国家としての側面も持ちつつも、海洋国家としての役割を果たそうとしている。
中国は大陸国家と海洋国家の両方のパワーを実現できるのか歴史を振り返ると、強大なシーパワーとランドパワーの両方を兼ね備えた超大国になることがいかに困難であるのかが理解できる。そもそも、大陸国家が強大な海軍を構築し維持することは容易なことではない。実現には、莫大な費用と資源、技術力、長い年月が必要となるだけではなく、何よりもライバル国家の妨害という大きなリスクがある。
大陸国家が周辺の国々からもたらされる安全保障上の懸念をある程度抑えることに成功し、国力に余裕ができた場合、利便性の高いシーパワーと富を求めて海洋への進出を画策するようになる。そして海軍力を増強し、海のパワーバランスを揺さぶろうとする。しかし、シーパワーに依存する海洋国家は、このような大陸の動向に注意を払い、抑え込むことを試みるのが通常だ。
実際、1670年代および80年代のフランスと1900年代のドイツといった大陸国家は、一時期、トップクラスの海軍の構築に成功した。しかし、英国は、大陸国家の海軍増強によるシーパワーの増大を嫌い、柔軟な外交や経済戦を駆使して勢力均衡戦略を行い、それら大陸国家の野望を潰してきた。
中国の場合は、「経済が発展すれば中国は民主化する」との甘い期待を持った米国と日本に助けられた。結果として、中国は、日米の妨害どころか逆に支援を受け、その経済力と軍事力の増強に成功した。中国の支配の意図が露わになった時には、中国の国力は東アジアの覇権確立を窺うまでに成長していた。
海洋国家である日米は、中国は封じ込めが必要な脅威であると早い段階で認識して、中国の野望を潰しておくべきだった。中国を現在のような巨大軍事国家に成長させてしまった原因は日米にあるのだ。
日本は今後どうすれば良いのか今、日本は、ロシア、中国、北朝鮮という軍事強国に囲まれ、周囲に強い同盟国もなく孤立している。