黒坂岳央です。

「成功は人を慢心にして目を曇らせ、失敗は人を成長させる」という言葉が好きだ。世の中で社会的に成功していると認知されている人たちは、総じて1の失敗から10も20も多くを学べるタイプだと思っている。一方で、一般的には失敗をとにかく忌避し、それでも失敗したらこの世の終わりが来たような落ち込み方をするケースは多いだろう。

どうすれば失敗から学びを得る人格を獲得できるのか? 自分自身の試みの中で得た気づきを言語化することに挑戦したい。

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1. 仮説を持っている

失敗から多くの学びを得る人は、挑戦する前に自分なりの仮説を持っている。

筆者がセブンアンドアイグループで働いている頃、次のような話を聞かされた。

「セブンイレブンはランチに売れるサラダをお昼に入荷していた時期があった。できるだけ鮮度の良いものを入れるためだ。しかし、データ分析をするとサラダは朝によく売れる。ランチ時に出かけなくて済むよう、朝の出勤時に買っていく利用者が多いからだとわかった。以降はサラダは朝入荷するようになった」。

これには目からウロコが落ちる思いだった。この話にも「鮮度を考えると、ランチ用サラダは昼入荷する方が良いのでは?」という仮説がある。何も考えなければ昼時から朝に入荷の時間帯をズラすというそもそもの改善は起きなかっただろう。

仮説を持っているからこそ、施策が外れた、あたったという評価が入り真剣に改善を意識する。たとえうまくいかなくてもそれは「このやり方は有効ではない」という価値あるデータに変わるのだ。