◆労働組合団体
United Steelworkers(USW)
Service Employees International Union(SEIU)
Utility Workers Union of America(UWUA)
American Federation of Teachers(AFT)
United Association of Plumbers and Pipefitters(UA)
International Union of Bricklayers and Allied Craftworkers(BAC)
International Union of Painters and Allied Trades
◆環境擁護団体
Sierra Club
Natural Resources Defense Council(NRDC)
National Wildlife Federation(NWF)
Environmental Defense Action Fund
League of Conservation Voters
ブルー・グリーンアライアンスは、労働組合と環境擁護団体が団結して、質の高い雇用を創出・維持し、クリーンで公平な経済を構築しながら、今日の環境問題を解決することを目的としています
と書かれている。
The BlueGreen Alliance unites labor unions and environmental organizations to solve today’s environmental challenges in ways that create and maintain quality jobs and build a clean, thriving, and equitable economy.
(BlueGreen Alliance)
この同盟関係が示すように、現在の気候変動対策に必ず雇用の話が出てくるのは、そもそもこのように労働組合と環境保護団体が団結してお互いの課題を解決する取組からでてきたものだ。つまり、労働組合員の雇用をうみ、賃金を上げるような環境政策にならなければ意味がないのである。
例えば、電気自動車(EV)購入の際の税額控除額について、1台当たり現在の7,500ドルなのを、労働組合がある米国で生産されたEVについては最大1万2,500ドルまで引き上げる案が上院議員(民主党)からインフレ抑制法の中で提案されていた。明らかに労働組合優遇政策を打ち出していたことがある。インフレ抑制法から除外された理由は、民主党のマンチン上院議員が強く反対したからだ。
また、バイデン政権は、2021年8月5日、EV推進の大統領署名式典にFord Motor 、GM、Stellantis NV(旧 フィアット・クライスラー・オートモービルズ)の幹部を招いた注6)。これらは、いずれも労組加入を義務とするユニオンショップ制をとっている米自動車企業だ。また、UAW(米自動車労働組合)議長、MI州上院議員、DE州上院議員、ウォルシュ労働長官、マッカーシー気候変動対策顧問も参加している。
米国で最も生産して販売台数を伸ばしているテスラは招かれもしなかった。テスラは、労働組合をもっていないし、労働組合設立を頑なに拒否しているので労働組合から目の敵にされているのだ。
このように、バイデン政権および民主党議員は、かなり露骨に労働組合を優遇している。彼らがクリーンエネルギー政策について論じる時は、必ず雇用増加や賃金増もついてまわるのだ。それは、環境擁護団体と労働組合が同盟関係にあり大きな支持基盤だからだ。この構造の理解があると、バイデン政権は何を重視して政策を打ち出しているかがわかりやすくなる。
エネルギー政策がチグハグに思える時は、労働組合の意向を重視している時が多いように思える。どちらも優先したいところだが、時にお互いの主張が対立する時もあり、なかなか難しい舵取りをしている時もある。
2024年大統領選では、バイデン大統領の再選はかなり厳しい状況になっていることもあり、労働組合だけでなく、環境擁護団体も取り込む必要がある。2021年~2023年は、環境擁護団体の要望をないがしろにする場面もあったが、2024年は環境擁護団体の要求を取り込んでいくことだろう。
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注1)Marty Walsh, Boston Mayor With Union Roots, Confirmed As Labor Secretary At Key Time
注2)Union Members Summary 2023.1.19
注3)THE BIDEN PLAN FOR STRENGTHENING WORKER ORGANIZING, COLLECTIVE BARGAINING, AND UNIONS
注4)民主党大統領候補者の労働法改革公約と「労働権法」をめぐる状況
注5)チャールズ・ウェザーズ『アメリカの労働組合運動』
注6)Statements on the Biden Administration’s Steps to Strengthen American Leadership on Clean Cars and Trucks
注7)Readout of Labor Leaders Meeting to Discuss the American Rescue Plan and Infrastructure
提供元・アゴラ 言論プラットフォーム
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