その理由はシンプルに経済問題であり、物価高対策でした。今回のアメリカ大統領選挙における国民の最大の関心も経済問題でした。なぜ物価高になったかといえばポストコロナで滞留した消費が一気に噴出し、需給関係を崩したことにあります。

つまり私から言わせれば民主だろうが、共和だろうが、保守だろうが、リベラルだろうが関係なしにオセロゲームをしたのが2024年選挙イヤーの総評だと考えています。

国民は顔を変えることでスッキリする、そういうことでしょう。国民は常に一定の不満を持っています。そのはけ口は政治であり、政治家なのです。「国家元首ほど嫌な商売はない」というのがこの4年間だったと思います。コロナはすっかり過去のもの、と考えている人が多いと思いますが、その集大成が2024年選挙イヤーだったと私は結論付けています。

ではトランプ2.0の時代に何が起きるでしょうか?私は正直、あまり期待していないのです。理由は「今の世の中、いうほど簡単ではない」からです。トランプ氏は言いました。「俺ならウクライナの戦争を24時間で止めてやる」と。手法はわかっています。手術中に酸素注入を停めるぞ、というわけです。それをした後の影響は未知数です。戦争は終わった、だけどもっとカオスが待ち構えているかもしれません。

関税はどうでしょうか。全世界に10%、中国には60%、メキシコからの自動車には100%関税をかけることでアメリカは産業が回復するでしょうか?アメリカにおいて製造業はおおよそ半世紀前からその能力を徐々に無くしてきたのです。無くなった能力を資本移動という手段で海外の安く、可能性があるところに投資をして今のアメリカの富を築いたのです。

トランプ1.0の時、レパトリエーション(国内回帰)を進めました。ではアメリカの製造業の競争力は上がったでしょうか?繊維や鉄鋼だけでなく、最先端で競争力ある航空機や半導体はどうでしょうか?「国が成熟すると労働者は講釈を垂れる」から生産性は上がらないのです。「黙って仕事をせい」とは言えないのです。