オーバーフェンダー標準装備

 もちろんRモデルらしい内外装の演出も抜かりはない。最も目を引くのは前後に装着されたオーバーフェンダーだ。メーカーの正式名称は「ソフトガード」だが、実質的にはオーバーフェンダー以外のなにものでもない。ワイドサイズの13インチタイヤをカバーする機能パーツで、視覚的にもクルマの安定感を高め、チェリーを生粋のスポーツモデルへと変身させる大きな要素になっている。

 フェンダーミラーがタルボ型になっているのもX1-Rのポイント。細かいところだがメーカーのこだわりを示す要素といえた。

【クルマ物知り図鑑】「Rの称号」はサーキットの輝き。日産初のFFスポーツ、チェリーX1-Rは熱い走りでマニアを魅了した独創クーペだった!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)
【クルマ物知り図鑑】「Rの称号」はサーキットの輝き。日産初のFFスポーツ、チェリーX1-Rは熱い走りでマニアを魅了した独創クーペだった!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

 スカイラインGT-Rと同様、走りに不要な装備を省き、スパルタンに仕上げたのも特徴だった。ベースモデルのX-1では標準のラジオは外され、内張りも一部が省略された。ドアサッシュも黒塗り塗装ではなくボディ同色仕上げだ。ただしスカイラインGT-Rではオプションとなるヒーターは標準装備。スポーツ走行をサポートする装備群が充実していたのも特徴だった。ステアリングは革巻き風の操作性を重視した2本スポーク形状で、回転計を装着。サポート性を重視したハイバックタイプのシートには3点式ベルトが標準で与えられていた。リアウィンドウの曇りを除去する熱線式リアウィンドウも標準だった。

 チェリーX-1Rは、ベースモデルの改良に伴い1974年モデルでは大型マスクと、ドアサッシュの黒塗り塗装でグレードアップし、チェリー・シリーズきっての硬派モデルとしてマニアの人気を集めた。

 日産の長い歴史の中でも、最もビビッドな走りを持つ1台として記憶に残る名車だ。

チェリー・クーペX-1R主要諸元

【クルマ物知り図鑑】「Rの称号」はサーキットの輝き。日産初のFFスポーツ、チェリーX1-Rは熱い走りでマニアを魅了した独創クーペだった!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

モデル=1973年式チェリー・クーペX-1R
全長×全幅×全高=3690×1550×1310mm
ホイールベース=2335mm
トレッド=フロント:1270mm/リア:1235mm
車重=645kg
エンジン=1171cc直4OHV
エンジン最高出力=80ps/6400rpm
エンジン最大トルク=9.8kgm/4400rpm
最高速度=160km/h
最小回転半径=4.6m
サスペンション=フロント:ストラット/リア:トレーリングリンク
ブレーキ=前ディスク/後ドラム
タイヤサイズ=165/70HR13
駆動方式=FF
乗車定員=5名

【クルマ物知り図鑑】「Rの称号」はサーキットの輝き。日産初のFFスポーツ、チェリーX1-Rは熱い走りでマニアを魅了した独創クーペだった!
(画像=『CAR and DRIVER』より 引用)

提供元・CAR and DRIVER

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