もう一つ大事なのは区です。市制ができたときは、二条通が境界で上京区と下京区しかありませんでした。室町時代には、下京と上京は別の町のようなものでした。
昭和に入って1929年に中京区ができて、四条より北、丸太町通より南が分離されました。ただし、大丸百貨店は四条通の北側ですが下京区です。古い町内会はそのままだったので、境界は四条の北へ行ったり南を行ったりです。
また、鴨川以東のうち下京区だったところは東山区に、上京区だったところは、左京区に分離されました。
1931年の大合併によって、右京区と伏見区ができました。戦後になると、下京区から京都駅以南が南区、上京区から鞍馬口以北や御土居以西が北区として分離され、一九七六年には東山区から山科区、右京区から桂川以西が西京(にしきょう)区が独立しています。
ですから、胸を張って京都といえる大正時代からの旧市内は、だいたい、上京区、中京区、下京区、東山区に、左京区、北区、南区の一部といったあたりになります。
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それでは。それぞれの区を代表するグルメを選んで見ましょう。
上京区は御所あるので和菓子店にいいものが多いといえます。虎屋菓寮京都店は御所近くの一条通ですから京都御所見学の余韻を楽しめます。お饅頭屋さんでは出町ふたばの豆餅、北野天満宮前の粟餅所澤屋などいかがでしょうか。
中京区は、洋風文化の窓口ですから、イノダ珈琲で砂糖とミルクをあらかじめプロが入れた「アラビアの真珠」を楽しむのはどうでしょうか。紅茶の名門・リプトンは食事やスイーツも高水準です。三条通商店街にある「ダリK」はカカオ豆の栽培から手がけてます。
京都駅ビルや京都タワーも下京区で、京都の町が見渡せるレストランは、やはり価値あり。鉄板焼きの「五山望」は名前の通りですが、「サルバトーレ・クオモ」、「加賀屋」、「ビュー&ダイニングコトシエール/ホテルグランヴィア」「モリタ屋ジェイアール京都伊勢丹店」などは手頃なところ。