■分娩室では足首を繋がれ…

ハンナさんは刑務所内で妊婦健診を受けるも、「胎児に悪影響が及んでいるのでは」「すでに手遅れかもしれない」といった不安にかられていた。

陣痛がきたときだけは地元の産婦人科に送られたが、分娩室では足を繋がれたうえ、2人の看守が常に分娩を監視していたという。それでも産まれてきた男の子の赤ちゃんは健康で、親子は2日後には刑務所に戻され、独房での子育てが始まった。

■沐浴は冷たい水で

ハンナさんは「水道の水は冷たく、そこで息子を沐浴させていた。刑務所では冷たい水でシャワーを浴びるのが当たり前だったから」と振り返る。

そんなつらい日々のなか、「この子のために良い母親にならなければ。息子に私と同じ道を歩ませるわけにはいかない」と決心したという。だが生後1ヶ月の頃、息子の体にできた発疹が悪化。出所まで、子育ては姉に委ねることが決まった。