SNSを巡ると、ペットのイヌやネコが人間の子供を甲斐甲斐しく世話するような動画を見つけることができます。
種族は違ってもまるで親のように接する動物たちの姿は、なんとも微笑ましいものです。
だからこそ、「過酷な自然界に放置された子供が動物たちの世話を受けて生き延びた」というニュースについても、いくらか納得できます。
しかし、実際にそのような環境で育った「野生児」たちは、人間に保護された後、どのような経緯をたどることになるのでしょうか?
今回は、動物に命を救われ、世話を受けたとされる子供たちの事例を集め、いくつか紹介します。
ただし、この稀な事例についてはあまり研究が進んでおらず、世界中に存在する野生児のエピソードの大半は捏造とも言われるため、真偽を見極めるのが困難なケースも多いようです。
ヤマネコに囲まれた男児
2008年、アルゼンチンのミシオネス州の運河近くで、警察官たちが8匹のヤマネコに囲まれた1歳の男児を発見しました。
なんと「ヤマネコたちが男児の体をなめてあげていた」というのです。
また自らが毛布のようになり、男児の上に乗って暖めてあげていました。
そして警察官たちが近づくと、ヤマネコたちは男児を守るかのように、攻撃的な姿勢を見せました。
さらに驚くことに、ヤマネコたちは男児のために残飯を持ってきてあげていたようです。
これは冬のエピソードであり、医師によると、「ヤマネコが男児を暖めてあげなければ、寒さでとっくに死んでいただろう」とのこと。
ちなみに、この男児は、ホームレスの父親がダンボール集めをしている最中にはぐれてしまったようです。
男児は、数日間ヤマネコと一緒に過ごした後、警察官の手を経て、無事父親と再会できました。
「野生児のエピソード」というほど過酷なものではなく、男児が受けた影響も大きくないでしょう。
だからこそ、父親が再び子供から目を離さないことを願うばかりです。
オオカミに育てられた男児
ディナ・サニチャー氏は、オオカミに育てられたインドの野生児です。
1872年、インドのウッタル・プラデーシュ州にあるジャングルの洞窟で、ハンターのグループは、オオカミの群れに混じっている6歳くらいの男児を発見しました。
ハンターたちは、この男児を救うため、洞窟内のオオカミを撃ち殺しました。
そして救出された男児は、ウッタル・プラデーシュ州の都市アーグラにある孤児院に連れていかれ、ディナ・サニチャーと名付けられました。
サニチャー氏は当初、「オオカミのように四つん這いで歩き、生肉を食べていた」と報告されています。
そして彼は20年以上人間社会で暮らし続けましたが、言語を話すことはなく、代わりに動物の鳴き声のような声を上げたという。
また人々の教育によって、二足歩行したり、服を着たり、カップと皿を使って食事したりすることも可能になりました。
しかし、それにもかかわらず、彼は四足歩行の方が上手で、裸を好み、食べる前にはニオイを嗅ぎ、肉を好んでいたようです。
サニチャー氏が人間の習慣の中で唯一好んだのは喫煙であり、ヘビースモーカーだったと言われています。
そんな彼は結核のため約34歳で亡くなりました。
サニチャー氏がどのような経緯でオオカミたちと過ごすようになったのかは分かりませんが、6歳までのその生活が彼を完全に野生児にしてしまいました。
サニチャー氏にとってオオカミたちに保護されたことは幸運だったのか、またその後、人間たちに保護されて連れてこられたことは幸運だったのか、野生動物のように過ごすことを望む彼の姿からそれを判断するのは簡単ではありません。