夜型の人は、「夜の視覚」を残したまま朝を迎える
通常私たちは、夜でも自分の身の安全を図るために、暗いところも視認できるよう、視覚の感度とダイナミックレンジ(識別可能な信号の最小値と最大値の比率)を上げ、コントラストを下げて見ています。
夜には、夜に適応した視覚になるわけです。
しかし、その後の変化が、夜型の人と朝型の人では異なります。
夜型の人は、夜の視覚状態を残してコントラストを下げたまま午前を迎え、午後はコントラストを少し高めた状態で外界を見ていると分かりました。
夜型の人は、夜の見え方に近い状態を維持しているので、特に天気の良い朝は、いくらか白飛びしたような世界に見えていたのです。
一方で朝型の人は、朝に日光を浴びることで、メリハリのある見え方に切り替えていました。
そして彼らは、午後になると再び、夜に備えて徐々にコントラストを下げていくようです。
朝型の人は、夜と朝ではっきりと見え方を切り換えるので、明るい朝でも影の部分をよく見分けることができていたのです。
今回の研究により、朝型の人と夜型の人が「今朝は桜の花が青空に映えてとても清々しいですね」と会話したとしても、実のところ、見え方はかなり異なっていると分かりました。
研究チームは、この結果を応用して、朝型の人と夜型の人、それぞれに合わせた表示する次世代ディスプレイを開発できると考えています。
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参考文献
【世界初】 朝の見え方が生活パターンの影響で大きく異なることを発見。 国際高専 大塚 作一教授の研究グループ
https://www.ict-kanazawa.ac.jp/2024/07/23/28292/
元論文
Next generation personalized display systems employing adaptive dynamic-range compression techniques to address diversity in individual circadian visual features
https://doi.org/10.1002/jsid.1277
ライター
大倉康弘: 得意なジャンルはテクノロジー系。機械構造・生物構造・社会構造など構造を把握するのが好き。科学的で不思議なおもちゃにも目がない。趣味は読書で、読み始めたら朝になってるタイプ。
編集者
ナゾロジー 編集部