一方、実力的に最弱レベルの動物や選手が直近の勝負で負けてしまった場合「負け組」となる可能性もあります。
実力の低さに加えて勝者敗者効果のデバフがかかってしまうのは、最も避けたい事態と言えるでしょう。
そのような事態に陥るくらいならば、あえて「戦わない」という選択肢もあり得ます。
雑多な戦いに自ら進んで参加しなければ、勝者敗者効果のデバフを受けにくくなり、本当に自分が必要とする戦いに「中立的な存在」として挑むことができるからです。
そしてもし重要な戦いで「実力があるのに直前で負けてしまった」相手にあたった場合、大金星を挙げて、勝者敗者効果の恩恵を受けられるようになる可能性もあります。
しかし競争は、野生動物やスポーツ選手のように激しく肉体を使うものだけではありません。
たとえば趣味でやっているEスポーツや学生同士の成績の競い合いのような分野での競争も存在します。
これまでの研究では、そのような分野で人間において勝者敗者効果がどれだけ存在するのかはあまり詳しく解っていません。
そこで今回、マクマスター大学の研究者たちは、1人称視点のシューティングゲームと文章読解力の2つの分野において、勝者敗者効果が人間にどのような効果を与えるかを調べました。
調査にあたっては複数の被験者があつめられ、ビデオゲームでは1対1の対戦試合が組まれ、読解力では相手との文章の理解度が競われ初戦の勝者と敗者を確定させます。
次に勝者側と敗者側でランダムな抽選によりそれぞれ1名ずつが選ばれ、第2回戦が行われることになります。
もしビデオゲームも文章読解力も完全に実力に結果が沿い勝者敗者効果がない場合、初戦で勝ったひとが第2回戦で勝てる確率は50%を大きく超えることはないでしょう。
しかし結果は、初戦で勝ったひとが第2回戦で勝つ確率は統計的な数値を大幅に上回るものになりました。