この動物は卵からかえると地球のサンショウウオのように成長し、交尾を行って新たな卵を産み一生を全うします。
しかし、死ぬと驚くべきことが起こりました。
体が崩壊するにつれて、多くの個々の細胞が解散し、分散して環境に出て、アメーバとしての生活を続けます。
これらのアメーバは、最終的には互いに融合し(粘菌のように、遭遇した他のアメーバと再結合して)、新しい種類の原始的な多細胞集合体を形成することもわかっています。
同時に、他のアメーバは再プログラム化因子を活性化して卵母細胞や精子になり、最終的に受精して卵を作りこともできました。
死んだ動物の体から単細胞生物が剥がれ落ちて、それらが新たな多細胞生物になったり、精子や卵子になって卵になるという考えは非常に面白くあります。
しかしレビン氏は、現実のゼノボットやアンソロボットの例を考えると、このような「第3の状態が存在する生態系」は理論上可能だと述べています。
実際、私たち地球の脊椎動物の体の中にもアメーバとそっくりの形をした免疫細胞が含まれています。
第3の状態になる仕組み
生物が死んだり分解された場合、なぜ一部の細胞は第3の状態に移行できる一方、そうでない細胞も存在するのか?
研究者たちは、環境や細胞の活性状態などいくつかの要因があると述べています。
たとえば人間の白血球は死後60~86時間で死滅します。
マウスの骨格筋細胞は死後14日程度、羊や山羊の線維芽細胞は死後1カ月程度まで培養可能です。
これらの差は、細胞が必要とするエネルギー量に依存すると考えられています。
活発で大量のエネルギーを必要とする細胞ほど寿命が短く、培養も困難になります。
また死後に働く遺伝子も重要な要因となります。
生物が死んだ場合、残された細胞ではストレス関連遺伝子や免疫関連遺伝子の活動が大幅に増加します。