日本の労働市場における喫緊の課題、「解雇規制の見直し」について、私の経験と考えを交えながら詳しくお話ししたいと思います。

「貴族議員」vs 落選経験者の説得力

最近、小泉進次郎さんが「解雇規制の見直し」を唱えて大きな話題を呼びました。しかし、結果的に総裁選挙で炎上し、敗退する結果となりました。

小泉さんのような、いわゆる「落選しない貴族」のような国会議員がこの敏感な話題を持ち出すと、どうしても国民からの反感を買ってしまうのが現状です。

一方で、私のように実際に落選を経験し、政治家として超絶不安定な立場にいる者こそ、この問題について説得力を持って訴えることができるのではないでしょうか。

解雇されたわけではありませんが…落選の痛みを知っているからこそ、雇用の不安定さや失業の恐怖の、少なくとも一部を身をもって理解しているつもりです。

金銭解決ルールの導入 – 労働者と企業双方にメリット

日本で具体的に取り組むべきは「金銭解決ルールの導入」だと考えています。これは一見、解雇を容易にするように思われがちですが、実は労働者の権利を保護することにもつながる重要な施策です。

現在の日本では、特に中小企業において、すでに違法な首切りが横行しているのが実情です。金銭解決ルールを導入することで、不当解雇に対する補償が明確になり、むしろ安易な解雇を抑制する効果が期待できるのです。

さらに、このルールは労働者にとっても、解雇された際の補償が明確になるというメリットがあります。

現状では、不当解雇に対して裁判で争うしかありませんが、時間とコストがかかり、勝訴しても職場復帰が難しいケースも多々あります。金銭解決ルールがあれば、迅速かつ確実な補償を受けられる道が開かれるのです。

諸外国の事例

金銭解決ルールは、すでに多くの先進国で導入されています。いくつかの例を見てみましょう。

ドイツ:解雇の社会的正当性を要求しつつ、金銭解決制度も併せて導入しています。勤続年数に応じて最大18ヶ月分の給与を補償金として支払う仕組みがあります。 フランス:解雇の正当事由を要求しつつ、勤続年数に応じた最低補償金額を法定しています。例えば、10年勤続の場合、最低3ヶ月分の給与が補償されます。 イギリス:不公正解雇に対する補償制度があり、基本裁定額と勤続年数に応じた追加額で構成されています。上限は約9万ポンド(約1,600万円)です。

これらの国々では、金銭解決ルールの導入により、労使双方の予見可能性が高まり、無用な訴訟も減少しているという報告があります。

日本での導入に向けて