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軽規格改訂で550cc化
ハイルーフバンと4WD登場、そして赤帽サンバーも
軽規格改訂で550cc化
1976年1月の軽規格改訂、それに伴う安全性向上によるボディ大型化と重量増加、排ガス規制対応で落ちるパワーを補う排気量拡大は剛力サンバーにも変化を促し、1976年5月には従来の358cc版EK21に代わる暫定仕様、490cc版EK22エンジンを積むサンバー5が登場。
1977年5月には(当時の)新規格フルスペック仕様となる544ccのEK23エンジンを搭載、ボディも少し大きくなり、トラックは荷台幅80mm、荷台床面も5mm拡大した当時のクラストップとなる荷大面積を誇った「サンバー550」を発売します。
550cc化された頃の軽トラック/1BOXバンは、スズキ キャリイ(6代目)と、継続販売していたダイハツ ハイゼット(4代目)の360cc版のみ水冷2ストロークエンジン、他は水冷4ストローク化。
サンバーのEK23はスペックこそ28馬力と平凡ながら低回転から粘り強く、リアエンジンで運転席から遠く快適、中央部にプロペラシャフトがないため低床式トラックやバンの荷台/荷室の低さは際立ち、荷物を傷めない4輪独立懸架のアドバンテージも健在でした。
ハイルーフバンと4WD登場、そして赤帽サンバーも
3代目の後期ではサンバーの商品力をさらに増す重要な改良があり、1979年にバンへのハイルーフ車追加、さらに1980年には軽トラック/軽1BOX車で初の4WD車が追加されています。
ハイルーフ車は1BOXでも高さ方向にかさばる荷物の積載を容易にするだけでなく、初代から現在で言えば軽ミニバン的に人気のあった乗用ユースでも快適性を増し、サンルーフやファブリックシート仕様の追加によって、1980年代初期の小規模なRVブームにも対応。
4WD車はセレクトレバーで2WDと4WDを切り替える単純なパートタイム4WDでしたが、もとよりRR(リアエンジン・後輪駆動)で、駆動輪が路面を蹴るトラクション性能に定評のあったサンバーの悪路走破性をさらに高めています。
これらの改良でトラックの人気が出たのはもちろん、バンは「MPV(マルチ・マーパス・ビークル)」であることをカタログでもうたった3代目サンバー4WDは、現在でいうとデリカD:5と似たような、ライバル不在の独特なポジションを得ていました。
次の4代目(1982年モデルチェンジ)で、ハイルーフ車の上級グレードにはサンルーフに加え「サンサンウィンドウ」を採用した乗用ユースの「サンバートライ」や、1リッターエンジンを積む3列シート派生車「ドミンゴ」を追加する基礎は、3代目でほぼ完成します。