ところが排卵された卵子が受精しなかった場合は、準備した子宮内膜が必要なくなるので、体内から剥がれて出血を伴いながら外へと排出されます。
これが「生理」です。
生理の期間が終わると、また新たな月経周期のサイクルへと入っていきます。
女性は妊娠可能な間はほぼ一月ごとに排卵を繰り返すので、閉経する年齢に達するまでに生涯で約400〜500個の卵子を排卵していると推定されています。
月経周期や発情期などの違いはあるものの、こうした排卵のプロセスは人間を含む哺乳類で共通しています。
その一方で、研究者らはこれまで、排卵が卵巣の奥深くで限られた時間内に生じるため、実際に排卵が起こる瞬間をリアルタイムで観察できたことはありませんでした。
しかし排卵のプロセスを観察することは、妊娠メカニズムの理解を深めたり、不妊治療にも役立つ可能性があるので非常に重要です。
そこで研究チームは今回、メスのマウス個体を対象に「卵胞」を取り出して、排卵の瞬間を撮影できるかどうか検証してみました。
史上初、「排卵」の瞬間を撮影することに成功!
チームは性成熟に達したメスのマウス個体から「卵胞」を採取し、シャーレ上で培養して、先に説明したホルモンを与えながら人為的に排卵を促しました。
またシャーレ上はマウスの体温と同じ37.5℃に設定しています。
そして排卵が起きる瞬間をリアルタイムで捉えられるように、下図のような撮影装置を準備しました。
その結果、チームの期待通り、見事に排卵が起きる瞬間をカメラに収めることに成功したのです。
実際の映像がこちら。
緑色は細胞膜、ピンク色の粒々はDNA、中央の赤色は卵胞内の液体、そして一瞬なので見えづらいですが、ブドウの種のように最後に放出された黒い球が卵子です。