シナロアは現在まで米国の麻薬市場の6割を制しているという。またシナロアに従事している人の数はメキシコ国内だけで17万5000人いると推察されている。またシナロアのメンバーは5万人いるとされている。

エル・チャポは現在米国の刑務所に無期懲役で服役中だ。彼の4人の息子がまとまりなく活動しているが、その一人もDEAによって逮捕された。またエル・チャポの番頭であったエル・マーヨことイスマエル・サンバダもつい最近米国で逮捕された。

ということで、シナロアの勢力に幾分陰りが見えている。その隙間を縫ってこの10年余りで急成長しているのがハリスコである。

ハリスコの創業者はメネシオ・オセゲラという人物で通称エル・メンチョ。現在、DEAが最優先しているのがエル・メンチョを逮捕することである。その為に懸賞金として1000万ドルが提供されている。彼はメキシコ国内で潜伏中だが人工透析をやっており療養中だとされている。

彼はメキシコから不法移民として米国に入国し、麻薬の密売で逮捕され一度収監された。その後、メキシコに戻り警察官にもなった。そこで軍隊式のしつけを覚えたのか、ハリスコのメンバーはメキシコのカルテルの中で最も狂暴だとされているが、また軍隊式の規律が最も守られていると評価されている。エル・メンチョの統率力が高く急成長している。

エル・メンチョはシナロアと協力していたカルテルでミレニオと呼ばれている組織で活動していた。ミレニオの創業者の二人が去ったあと、このカルテルは分裂状態にあったが、それをまとめたのがエル・メンチョであった

。彼の息子の一人エル・メンチートがDEAによって逮捕された時にその通報をやったのがシナロアだとしてエル・メンチョはシナロアを敵のように見なしている。それもあって、エル・メンチョはシナロアの密売市場に割り込んで戦いを挑んでいるというのが現在の姿だ。

フェンタニルの原材料の密輸出に協力しない中国政府

米国政府は中国政府に対し、フェンタニルの原材料を生産している化学メーカーにメキシコへの密輸を控えさせるように要請している。しかし、中国政府は表向きは協力する姿勢を見せてはいるが、実際にはそれは実行されていない。実際、年々メキシコから米国に密輸されているフェンタニルの量は増加しているからだ。