なお、体内のエネルギー代謝に著しい刺激を与えるとは、簡単に言うと、カロリーを沢山とって、沢山消費することです。

実験では、日頃からサイクリングを楽しむ中年男性11名を分析対象として、セントローレンス川(カナダ東部を東北に流れる河川)の南岸にある104kmのコースを7日連続、1日1~2周してもらっています。

この際、事前に専門的な代謝テストを実施したり、期間中を通して心拍数測定や食事記録を行ったりすることで、摂取エネルギーと消費エネルギーを計測しました。

食事は、朝食と昼食がビュッフェ形式で提供された上、参加者たちは夕食と間食用に大きなお弁当箱に入れて食事を持ち帰ることができ、自宅では他の食品を食べることも許されました。

参加者には十分なカロリーがとれるようにビュッフェ形式の食事が提供された(イメージ)
参加者には十分なカロリーがとれるようにビュッフェ形式の食事が提供された(イメージ) / Credit: Canva

こういった実験の前後に、身体計測や血液検査などを詳細に行うことで、「たくさん食べて、たくさん運動する」効果が検証されました。 果たしてどんな結果になったのでしょうか?

たくさん食べてもたくさん動くと健康的に痩せる

早速結果を見ていきます。

まずは、7日間のサイクリング期間中における摂取カロリーと消費カロリーの差分、すなわちエネルギーバランスを詳しく確認してみます。

コースを1周走った日は、摂取カロリーと消費カロリーが見事に釣り合っていましたが、2周走った日には消費カロリーの方が多いという結果が得られました。

このことは、1日2周した日では、運動量が非常に多く、消費したカロリーを食事で十分に賄うことができなかったことを示しています。

左:平均の摂取カロリー(Intake)と消費カロリー(Expenditure)右:毎日のエネルギーバランス
左:平均の摂取カロリー(Intake)と消費カロリー(Expenditure)右:毎日のエネルギーバランス / Credit: Chartrand et al. (2024) American journal of physiology. Endocrinology and metabolism, CC BY 4.0