「緑の党」のマウラー議員は「キックル氏にはオーストリアの名で署名する権限はない。彼は我が国を代表しておらず、開かれた公正な社会を信じる人々のための声でもない。彼と自由党が行っていることは、計算された誇大妄想の劇だ」と批判している。
オルバン首相が訪問する先々でこれまで様々な政治的な波紋が投じられてきた。その意味で同首相のウィーン訪問も例外ではなかったが、極右「自由党」が先の総選挙で第1党に躍進した直後だけに、その波紋も一層大きかったわけだ。
いずれにしても、ファン・デア・ベレン大統領が選挙後、第1党の自由党のキックル党首ではなく、第2党の国民党のネハンマー首相に新政権発足の連立交渉を要請したことで、自由党内で不満の声が高まっていた。それだけに、オルバン首相のウィーン訪問は自由党にとってその政治力を誇示できる絶好の機会ともなったはずだ。国民議会議長という国家の要職を握ったキックル「自由党」は今後、様々な政治的アクションを展開し、政界を揺れ動かしていくものと予想される。
編集部より:この記事は長谷川良氏のブログ「ウィーン発『コンフィデンシャル』」2024年11月3日の記事を転載させていただきました。オリジナル原稿を読みたい方はウィーン発『コンフィデンシャル』をご覧ください。