正直、そのテーマで検索すればYouTube動画でも出てきそうだが、自宅からは「対面型営業のビジネスプロセスについて検索しよう」とはならない。頭の中にないので検索しようという発想にならない上、仮にYouTubeのアルゴリズムに提案されてもクリックしないからだ。

しかし、リアルセミナーにわざわざ来ているからこそ、「せっかくなので時間、目いっぱい学んで帰ろう。自分の知識がない分野を学ぼう」という発想になったのである。

セミナー講師の技を盗める

これは筆者のように自分がセミナーを開催する側、呼ばれて登壇する側に立つ人間に限られる話だが、講師の技を盗む事ができるのだ。

セミナーをする側は基本的に他人のセミナーに参加することは少ない。その時間があれば、自分が開催した方がビジネスメリットが大きいからだ。しかし、あえてインプットのために参加者側になることで、そこから学べる点は非常に大きい。

今回、セミナー中に突然機材が不具合を起こし、スライドが表示されなくなってしまうトラブルが起きた。講師はよくあることのように慌てず、上手に話し続けて無事にセミナーを終えた。その対処法は自分の頭にない発想だったので万が一の時はこの技は使えるとメモをした(トラブルを起こさない事前対策が重要なのは言うまでもないが)。

また、セミナー開始直後は参加者が緊張しており、空気も硬いことが多い。よくあるセミナーではアイスブレークに自己紹介をする事が多いが、それも型どおりにしてしまうとますますフォーマル感が出て会場の空気が硬くなる。

一方、今回参加したセミナーでは、序盤の時間で積極的に講師と参加者とで簡単な質問を投げかけることでコミュニケーションを取り、笑いを取って一気に場の雰囲気をあたためていた。これも自分が考えたことがなかったし、参加者側の視点で会場の空気感をどのように感じるのかを実感できたのは大きかった。こうした小さな技術をベテランから盗むことができる価値は非常に高いのだ。