自宅や車の中を気持ちの良い空間にするために、芳香剤を使用する人は少なくありません。
多くの人は、室内に満たされた香りを吸い込んで、心を落ち着かせたり、気分をリフレッシュさせたりしたいと感じているのです。
しかし、それら芳香剤が、私たちの健康に悪影響を及ぼすかもしれないことを考えたことはあるでしょうか。
中国の寧夏医科大学(Ningxia Medical University)に所属するヤンロン・ワン氏ら研究チームは、中国の1万人以上を対象にした研究によって、芳香剤の使用が高齢者の認知機能の低下と関連していると報告しました。
芳香剤に含まれる揮発性有機化合物(VOC)を取り入れ続けることでアルツハイマー病のリスクが高まる恐れがあるのです。
研究の詳細は、2024年10月15日付の学術誌『Cell』に掲載されました。
目次
- 何気なく使っている芳香剤は安全?そこに含まれる揮発性有機化合物とは?
- 芳香剤の使用とアルツハイマー病には関連がある
何気なく使っている芳香剤は安全?そこに含まれる揮発性有機化合物とは?
トイレの嫌な臭いに対処したり、室内を爽やかな空間にしたりするため、芳香剤を活用する人は多いでしょう。
しかし、これら芳香剤には、揮発性有機化合物(VOC)が含まれています。
これらは室内の空気汚染の一因とされ、呼吸器や免疫系、さらには脳機能に悪影響を及ぼす恐れがありますが、そのことを意識している人は多くありません。
揮発性有機化合物(VOC)とは、常温で容易に揮発(蒸発)し、空気中に漂う化学物質の総称です。
このVOCには、様々な成分があり、主なものだけでも200種類はあります。
例えば、塗料やガソリンから揮発するトルエンやキシレン、金属や機器の洗浄に使用されるトリクロロエチレンなどはその代表的なものです。
トルエンは神経毒性があり、頭痛やめまいを引き起こすことがあります。