国防省は現時点で、イランの駐在武官が革命防衛隊の一員かどうかを把握していないと弁明している。ちなみに、外務省での認定には各人を対象とした安全保障当局の審査が必ず行われる。外務省は現在、イラン武官の件は内部で調査中という。ただし、外務省側の説明では、招待方針には国際情勢が考慮されることはないという。全ての認定された駐在武官は招待されており、ロシアや北朝鮮は現在オーストリアに駐在武官を置いていないから参加しなかっただけだ、といった具合だ。

バウアー広報官によれば、駐在武官は年間におよそ6回程度の行事に招待されており、大規模な演習なども含まれるという。なお、軍事的に中立なオーストリアは現在、イランに駐在武官を置いている数少ない欧州の国だ。

パレスチナ自治区のイスラム過激派組織「ハマス」はイスラエルにミサイルを発射するが、そのミサイルはイラン側の支援によるものだ。シリア内戦では守勢だったアサド政権をロシアと共に支え、反体制派勢力やイスラム過激テロ組織「イスラム国」(IS)を駆逐。イエメンではイスラム教シーア派系反政府武装組織「フーシ派」を支援し、親サウジ政権の打倒を図る一方、モザイク国家と呼ばれ、キリスト教マロン派、スンニ派、シーア派3宗派が共存してきたレバノンには、イランの軍事支援を受けたシーア派武装組織「ヒズボラ」がいる。その中心的役割を果たしているのがIRGCだ。

なお、IRGCは石油とガス産業、建設と銀行だけでなく、農業と重工業にも食い込んでいるコングロマリットを所有している。豊かな資金源を背景に、テロ活動を実施している。米国は2020年1月、イラクでイラン革命防衛隊(IRGC)司令官だったカセム・ソレイマニ将軍を無人機の攻撃で殺害している。

ちなみに、オーストリアはナチス・ドイツ軍に併合されて敗戦を味わい、10年間、連合国軍(米英ロ仏)4カ国の占領時代を経た後、1955年、当時のレオボルト・フィグル外相がベルヴェデーレ宮殿内で「オーストリアイストフライ(オーストリアが自由に)」と叫び、再び独立国となった。