一方、取り込まれた葉緑体は、CHO細胞の細胞質に存在しており、その一部は細胞核の周りを囲むように配置していました。
その後チームが分析と観察を続けたところ、葉緑体は取り込まれてから少なくとも2日間、光合成活性を保持していました。
しかし4日目に入ると、その活性は著しく減少し、長く持たないことを示しました。
ちなみに光合成活性の減少は、取り込まれた葉緑体に見られる「チラコイド膜」の構造が崩れるタイミングと一致することも分かりました。
このチラコイド膜とは、葉緑体内部に存在する幾重にも折りたたまれた膜からなる網目構造のことであり、光合成の光化学反応が起こる場所でもあります。
つまり、取り込まれた葉緑体が光合成活性を失ったのは、2日目以降、チラコイド膜がCHO細胞の分解作用に耐えられなくなり、その機能を失ったからだと考えられます。
今回の研究では、少なくとも2日間、ハムスターの細胞に移植した葉緑体の光合成活性を保持することに成功しました。
この結果だけでは、「光合成できるハムスターやその他の動物を作り出せる」とは言えませんが、それでも、この種の研究において突破口を開くものとはなりました。
研究チームは現在、移植した葉緑体の光合成活性をより長く維持するための技術開発を進めており、移植した葉緑体からどの程度の酸素が発生しているかも調べていきたいと語っています。