産経新聞によると、石破茂さんは自民党総裁選演説会で次のように述べた。
能登半島地震の被災直後の状況について「101年前の関東大震災のときと変わらない。体育館で雑魚寝。先進国で日本だけだ」と述べ、「家が壊れ、職を失った人たちがなぜ体育館で雑魚寝、なぜ冷たい弁当を食べないといけないのか。被災した人を励ますのは、温かくておいしい食事だ」と強調し、発災3時間を目途に簡易トイレや簡易ベッド、キッチンカーなどを被災者のもとに派遣する仕組みを整備する考えを示した。
以下、私(早坂)の考え。
被災者に暖かくておいしい食事を食べて頂くことに異論はないが、防災を語る上でこのことの優先順位は低い。
なぜか。
防災で最も大切なことは、いのちを守ることだからだ。被災者への暖かくておいしい食事の提供は歓迎するが、それはいのちを守る防災対策ではない。
では、過去の大地震でいのちを奪った原因(死因)は何か。
東日本大震災の死因の9割が、津波による溺死(すなわち原因は水)。 阪神淡路大震災の死因の8割が、建物倒壊による圧死・窒息死(すなわち原因は建物)。 関東大震災の死因の9割が、地震火災による焼死(すなわち原因は火)。つまり、大地震からいのちを守るといっても、そのために必要な対策は、水なのか、建物なのか、火なのか、被災地域の特性によって全く異なる。
そこで考えなくてはならないのは、今後必ず発生する首都直下地震での死因は何かということだ。これに関しては、私の都政レポートをご覧頂きたい。
話を戻そう。
いのちが守られて初めて、暖かくておいしい食事が必要になる。つまり、いのちを守るための対策(水か建物か火か)の話抜きで、暖かくておいしい食事の話をすることは、防災で最も大切なことが何かということをわかっていない。