民間企業の給与上昇も影響か
こうした対策は効果があるのか。
「効果はないと思います。教員の労働環境がブラックだというイメージがこれだけ広がってしまうと、教職調整額をちょっと上げただけで志望者が増えるということはないでしょう。一番の大きな問題は長時間残業と、その残業時間に見合った残業代が支払われない点です。長時間残業の要因は、部活動指導と校内分担業務、教育委員会への報告のための各種資料作成などです。若手教員の場合、これに研究授業の発表準備などが加わります。なので残業を減らそうとすれば、これらをやめるか、新たな人員を雇って任せるしかないので、極めてハードルが高いです。
また、学校は各自治体の教育委員会の顔色を窺って動いており、そして学校と教育委員会というのは地域ごとに非常に閉鎖的な社会なので、国がいくら音頭を取ってやろうとしても無駄のような気がします。長時間残業に関しても、学校は教育委員会から目をつけられるのを恐れて、教師の正確な就労時間や労働環境の問題点を報告していないケースも多く、結果的に国が教師の労働実態を正確に把握できていません。これでは国は必要な施策を打つことはできません」(中学校教師)
「今は民間企業の給与が上昇して、かつホワイト企業化が進んでいるため、大学の教育学部を卒業しても教師にならず民間企業に就職する人も少なくないです。教員は残業代なしでの働かせ放題になっているのが現状で、民間企業と同様に月45時間なり60時間以上の残業を禁止したり、残業した分はしっかり残業代を支払うといったように、当たり前の仕組みを取り入れない限り、志望者の減少、つまり教員不足の解消は進まないでしょう」(別の中学校教師)
(文=Business Journal編集部)
提供元・Business Journal
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